1.総合判断について

 新しい食べ物・製品が売れるか売れないかというときには、食習慣が大きな壁となります。今回のポテトチップ製品の試食でも、同様な結果が得られたのではないでしょうか。

 個別項目において、「非常に良い」と「良い」をマークしたのは「らんらんチップ」と「十勝こがね」ですが、「普通」の項目を加えると「トヨシロ」の評点が首位となります。

 これは、普段食べ慣れている製品が「普通」と判断され、あえて冒険をしない安心感が「買う」の質問に対し「トヨシロ」を選択させたと判断されます。

 2.個別項目の関係について

 ポテトチップ向け加工原料品種の条件としては、綺麗な外観つまり焦げないことを第一義にしています。加工時に出来上がりの製品が焦げるのは、還元糖(ブドウ糖、果糖)とアミノ酸が化学反応(メイラード反応)を起こしてメラノイジンという褐色色素を生成するからです。

 つまり、綺麗な色に揚がる品種には、『味』として感じる糖とアミノ酸が少ないことを要求されるのです。したがって「らんらんチップ」と「十勝こがね」が、「食味」の評点は高いけれども、「色(外観)」の評点が低くなったのは妥当と考えられます。

 3.カラフルポテト(有色品種)について

 全体的に評点が低いのは、これまでの食習慣からかけ離れた色であることに加え、ポテトチップ原料としての品質面での品種能力が不十分であるためでもあります。

 この中で、「インカレッド」を「買う」とした評点が高いのは予想外でした。この品種は他の品種に比べ乾物率が低いため、製品の油分含有率が高く食感が柔らかくなります。食感の柔らかさを高く評点したのは男性よりも女性に多く、これにより「買う」の評点が高くなったと考えます。

 4.品種改良の悩みと夢

 製品の色を最優先としてポテトチップ原料向けの品質を突き詰めると、紙のようなものになってしまいます。糖とアミノ酸を極力少なくすると、原料いも本来の味は出ないのです。

 単純な塩味では『食に耐えない』ので、他の味成分を添加して製品を製造することになります。綺麗な白い製品を消費者が望む(?)ので、原料品種の改良は紙のような成分品質を目指しています。

 同じ紙でも味のある『和紙』ならば嬉しいのですが、廉価な『西洋紙』です。味のある狐色にこんがり揚がった製品ではどうしても駄目なのか、悩みつつも紙のような成分特性を目指して育種をすすめています。

 カラフルポテト(有色品種)製品の評価が、「良くない」、「買わない」と低いのを見て決して落胆はしません。

 「新しい企画を10人に見せて、皆が良いと云ったらその企画は捨てろ、酷評の中で数人が面白いと云ったら、その企画を続けろ」。これは20数年前に尊敬する民間育種家に教えられた言葉です。

 この教えからすれば、少し評点が高すぎるかもしれませんが、認知度が上がったと前向きに解釈しています。

 新しいメニューを提供することにより、消費者の皆さんに「気持ち悪い」と言われても、手に取って食の冒険を楽しんで頂きたいのです。