その47


新聞の中の焼きいも(平成16年10月1日)

 当館の今秋の特別展は「焼きいものすべて」。10月1日(金)から11月28日(日)までで、今日が初日。それ用の資料集めで特に力を入れたのは、さいきんの新聞記事だった。世相の動向に敏感な記者さんたちが、いまの焼きいも事情のどこに、なにを感じているのかを知りたかった。

 


 焼きいも一本3千円

 石焼きいもが現われたのは太平洋戦争後のことで、最盛期は昭和30年代から40年代にかけてだった。当時の売り子は東京だけで2千人以上もいたという。

 戦前の焼きいも屋は石を使わなかった。たいていの焼きいも屋は店を持ち、その土間で焼いた。カマドに鉄の平鍋をのせて焼く「カマ焼き」と、つぼの中に針金でいもを吊るして焼く「つぼ焼き」があった。どっちも安くてうまかった。

 それが戦後は変った。石焼きいもは高いものになった。「1本が五百円だった」とか、「1本で六百円も取られた」などという話はいくらでもある。

 では最高値はどこまで行ったのだろう。それを探していたら阪神大震災直後の平成7年1月24日の毎日新聞にあった。その見出しは「焼きいも一本3干円。乾電池も3倍」というもの。被災地では生活必需品不足につけこんでの悪質な便乗値上げが横行した。その中で記著をびっくりさせたのは焼きいもで 「神戸市西部国道2号沿いには、焼きいも1本が普段の10倍もの3千円という焼きいも屋が現われた」 とあった。

 ふだんの一本3百円は安い方に入ろう。それがこういう時には10倍にもなってしまう。極端な例なのだろうが、ひどすぎる。

 

 

 

 

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 火の車

 石焼きいもの屋台はリヤカー式でも、軽トラック式でも薪を燃しながら移動する。その時、カマドの煙突から火の粉が飛んでいることがある。それがその周りの家に引火したことはないそうだが、屋台の炎上は時々あるという。

 平成8年10月16日の京都新聞夕刊に 「芋は焼いても”火の車”はやめて」 という見出しでそれがあった。

 東京消防庁によると東京都内の焼きいも屋のポヤは昨年1年間だけで7件あった。原因はいずれも狭い荷台に詰め込んだ火付け用の段ボール箱。それが高熱になったカマドや煙突に接触して燃え上るのだという。

 

 

 

 

 

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 焼きいもの買い方のコツ

 平成10年12月26日の河北新報夕刊に、仙台の焼きいものすべてがある。見出しは「タウン総研」。小見出しは「お得意さんは男性が多いのだ」

 仙台の石焼きいもは軽トラックに焼きがまを載せている、コンビニやファーストフード隆盛の今日でも繁盛しているという。このことは次の東京とまったく違う。

 仙台でも最大の関心事は値段。組合加盟の焼きいも屋は、1キロ干円という協定価格を明示している。大いもで2〜3本というところ。だが組合に入っていない人も多いので買い方に注意しないといけない。

 安易に「千円分」とか「3本くだざい」と言うのはだめ。「まず、いくらでどれだけ買えるか確かめ、納得したら買う」。これは 「焼きいも屋さんが直々に教えてくれたコツ」 とある。

 おもしろかったのは夜の繁華街の客。焼きいもを買う人の多くは男性で、「ママさんらにお土産用に買うらしい」 とあった。

 

 

 

 

 

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 東京の石焼きいもの衰退

 東京の石焼きいもは戦後の経済の高度成長の波に乗って伸びた。だがそれは昭和45年(1970)の大阪万博までだった。それを機に海外のファーストフードの有力企業がわが国に続々と上陸、いたるところに店を出した。

 石焼きいももファーストフードの1つだが、それにはかなわなかった。売り上げが年々落ち、最近では廃業する人が多くなっている。平成13年4月10日の朝日新聞夕刊にそんな状況がある。見出しは「焼きいも屋50年 人情ありがとう」

 弘前出身の小山内吉三さん(71)は二十歳の時、東京で焼きいもの売り子になった。「もうかる」と聞いたからだ。一番売れたのは大阪万博の前。いまの売り上げはその10分の1にも届かない。この1年ほどは赤字になる月も多い。それでこの春限りでやめることになった。

 小山内さんは最初から最後までリヤカーで街の中を回った。それを半世紀も続けられたのは、行く先々に応援してくれる人がいて、なにかとめんどうをみてくれたからだという。

 

 

 

 

 

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 スーパーでも焼きいも

 店の活性化のために、店頭に大型の焼きいも機を導入するスーパーが現われた。平成14年12月26日の日本農業新聞に 「遠赤外線でほかほか芋 スーパーに行列」 の見出しでそれがある。

 特色は安いことで1本150円から200円。夏の暑い時期でも予想以上によく売れている。首都圏のフーデックス、愛知県のユニーなどが力を入れているとある。

 

 

 

 

 

 

 

 

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 夏でも焼きいも

 わが国では焼きいもは冬のものとされてきた。それがさいきん崩れだしたという。

 平成18年5月26日の読売新聞大阪本社版にそれがある。見出しは 「意外やイケる夏の焼きいも 冷やしてOK」

 大阪府食品流通センター(茨木市)の焼きいも専門店「なるとや」では、夏でもたべられないかと研究、5年前から真空パック入りの焼きいもを売っている。大阪府松原市の近商ストアでは一昨年から真空パック入り焼きいもを売っているが、昨年から人気が出だした。

 京都府伏見区の「いもはやし」では鉄板でいもを焼いている。夏場でもそれを冷蔵庫で冷やしてたべる人がいるとある。

 夏の焼きいもも好きという人は東京にもいる。作家の出久根達郎さんもその一人。同氏は東京新聞夕刊のコラム「食物浪漫」(平成16年8月5日)で、こう書かれている。それは「東京では今や夏の味覚」。「冷やした焼きいもも人気がある」と。

 

 

 

 

 

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