じゃがいもMiNi白書

★☆★☆ 《品質のクレームと解決方法》 ☆★☆★

1)中心空洞
  クレーム要因のうち最大のもので、いもの中心部が裂けるように穴になっています。その原因には
  • 夏季の高温乾燥期のあとに大雨で急速に肥大すること
  • マルチで地温が上がり過ぎること
  • 株当たり茎数が1〜2本と少なく、いも数が少ないこと
  • 株間が広い、あるいは欠株があること
  • 多肥で急速肥大すること
  • 黒あざ病株であること

 など、様々なものがあります。対策としては、正しい施肥を行い、30p間隔にきっちり植え、株当り茎数を4〜5本とし、適切な培土を行えば発生を抑えられます。


2)褐色心腐れ(かっしょくしんぐされ)
 中心空洞に次いで多いクレーム要因で、いもの中心の「ずい部」が褐色ないし淡褐色になっています。原因は、栽培中の高温を伴う乾燥で、水分不足により細胞が枯死したもので、北海道のような冷涼な地域でも高温乾燥年に多発し、加工場の歩留まりを大きく低下させるものです。圃場ごとに発生率が異なるのは、主として施肥量の差によるもので、多肥ほど急速に肥大し、水分不足をおこしやすいためです。
 対策としては、正しい施肥、水持ちのよい土作り、適切な培土、正しい株間とし、欠株をなくすることです。

3)黒色心腐れ(こくしょくしんぐされ)
 褐色心腐れと同様にクレーム要因のかなりのシェアを占めますが、原因は全く異なっています。栽培中から貯蔵中までの間、酸素不足で枯死することが原因で、栽培中に酸素不足となるのは、多湿な土壌条件や黒あざ病のせいです。黒あざ病に罹ると肥大に伴う酸素供給のアンバランスが生じるからです。
 貯蔵中は低温であることに安心して換気を怠ると窒息状態になります。また、土中貯蔵の場合には、換気筒は不可欠です。また、浴光育芽中や輸送中に25℃以上の高温が続くとき、やはり酸素欠乏となって発生することがあります。対策は、換気と黒あざ病の抑制を徹底することです。

4)維管束褐変
 いもを切断したとき、周皮から1pほど内部に走る維管束環が、淡褐色ないし濃褐色に変色し、調理後に目立った黒変になるもので、原因には病害によるものと生理障害の2種類があります。
 病害によるものは、乾腐病菌もしくは半身萎凋病菌が原因で、ストロン基部から侵入し、進行すると腐敗します。また、生理障害によるものは、生育旺盛なうちに除草剤で強制枯凋すると、水分不足によるショックから維管束内の導管が枯死することによって生じます。

5)黒あざ病の菌核
 調理前に水洗いしたときに、黒土がこびりついているように見えるものがあります。これは黒あざ病の菌核ですが、内部の肉質には影響がなく、皮むきすれば問題はありません。

6)そうか病、粉状そうか病、象皮病
 周皮がカサブタ(アバタ)状になるもので、出荷の際に選別・除去するので消費者の目に触れることは少ないのですが、時々、クレームの対象になります。いずれも土壌病害で、種いもによっても伝播します。対策は、正しい輪作と、完熟堆肥のすき込みです。

7)変形
 出目いも、ジグザグいも、くの字いも、ダルマいも、ワレいもなどと呼ばれる様々な変形が生じたもので、原因は土塊の多い土壌、二次生長、黒あざ病の被害、変動の大きい気象など多様ですが、最も多いのは黒あざ病の被害によって生じたものです。対策は、正しい輪作と無病種いもを使用することです。

8)ラセット、ネット、亀の甲、粗皮
 我が国の品種には周皮がラセット状になるものはなく、すべてきれいな肌をしています。ラセットから粗皮へと、次第にひどくなる周皮異常の原因は明確でないのですが、土壌・気象条件のほか、生育段階のそうか病などの影響により、周皮の正常な形成が阻害されるものと考えられています。

9)虫害
 ケラ、ハリガネムシなどの被害は明らかに肉視できますが、ナストビハムシの幼虫による食害は肉視できないものが多いのです。周皮から侵入して、1〜2pの深さのトンネルを作ります。直径は1mm以下ですが調理後にこれが黒変し、トゲ状になって問題になります。

10)腐敗
 このクレームは少ないのですが、まれにあります。原因は疫病、軟腐病、乾腐病、炭そ病、黒脚病、灰色かび病などです。疫病以外は土壌病害で、しかも種いもでも伝播します。

11)発芽(萌芽)
 近年、このクレームが増えています。収穫期の前後が高温で休眠が破れると発生します。対策は水持ちの良い土作りと適切な培土をするほか、収穫後直ちに低温貯蔵することです。

12)緑化いも
 じゃがいもは栽培中のみならず、収穫後も太陽光や人工光を受けて緑化します。対策は、適正な培土や不要な光をあてないなど正しい管理を行うことです。

13)黒土
 クロボクといわれる黒色の湿性火山灰土で栽培すると土離れが悪く、形状の悪いことが多く、いもが黒く見えて、時には黒いもと呼ばれ、品質が悪いというイメージをもたれます。外観は悪くても、正しく栽培されたものであれば品質に問題はありません。(粘質な土の場合も土が固まり易く、いもの形状が悪くなりやすい)