XI 世界のじゃがいも事情
  -欧州、米国、アジア-

1.世界のじゃがいも生産と消費
(1) 2003年の作付面積は 1,890万ha、生産量は3億2千1,081万t、1ha当りの生産量は 16.4t となっています。生産量の多い方から国別にみると中国 6,681万t、ロシア 3,675万t、インド 2,316万t、アメリカ 2,082万t、ウクライナ 1,850万t、ポーランド 1,373万t、ドイツ 981万t、ベラルーシ 860万t、オランダ 640万t、フランス 623万t となっています。

(2) 1人・年間当たりの消費量(2002年)でみると、世界全体では33sですが、 ベラルーシの171sを筆頭に、ラトビア、ポーランド、ウクライナ、リトアニア、ロシア等の旧ソ連、東欧諸国、そしてアイルランド、ポルトガルなどが120〜140kgの水準となっています。この他、イギリスが112kg、オランダ89s、ドイツ72s、フランス66s、アメリカ62sと、欧米では大量に消費しているのに対し、アジアでは中国35s、韓国12kg、そして我が国は24sの水準にとどまっています。

注:1)

データの出典はFAOSTAT(FAO)

2)

消費量にはでん粉等の加工品を含む


2.ヨーロッパ諸国
(1)オランダでは、じゃがいも生産のうち、種いもの占めるシェアが高いのが特徴です。高品質、無病の種いもは、チューリップと同様に高度な栽培技術により輸出向けの生産が行われています。また、でん粉原料用の生産も多く、我が国のでん粉工場は、オランダをモデルにしています。

(2)ドイツでは、伝統的に青果用と豚の飼料用が生産されており、豚肉とじゃがいもを素材とした料理が多くみられます。一方、フランスではほとんどが食用で、フレンチフライの名前でもわかるように、じゃがいもを油で揚げる料理はフランスが発祥の地です。

3.アメリカ
 中国、ロシア、ポーランドに次ぐ大生産国であるアメリカでは、トウモロコシ、小麦、大豆などの畑作物と同じような大規模な潅漑施設のある広大な農場で大量生産されています。そして、その用途は青果用が3割ありますが、5割強のシェアを占めるのは加工食品用であり、さらにその約半分が冷凍加工品となっています。

4.アジア
(1)中国は世界でも旧ソ連を除けば最大の生産国であり、北方の冷涼地帯では小麦、とうもろこしに次ぐ重要な作物となっています。全体の作付面積は450万ha程度で我が国の47倍にも及んでいます。主な産地は四川省、黒竜河省、甘粛省、内蒙古自治区、山西省、湖北省などです。これまではいわゆる主食の『粮』としての消費が多かったのですが、今後は『菜』としての利用が増えると予想されます。

(2)韓国では米国から導入した「スーペリア」と日本から導入(種いも輸入)した 「デジマ」が広く栽培されています。そして日本の種いも生産流通システム(原原種→原種→採種)と同じようなシステムを確立していますが、その一方でマイクロチューバーによる増殖システムの企業化も進んでいます。
  生産地帯は、北の38度線近くの山岳高原地帯から南の済州島まで、全国的に幅広く栽培されています。消費は野菜としての用途が中心ですが、ポテトチップスなどの加工品の消費増加がめざましく、外国資本との合弁による生産が行われています。

(3)ネパール高地などでは、標高3000〜4000m付近で短い夏の間に栽培されていますが、自給用としてだけでなく、交易用として利用されています。一方、熱帯地方のタイやインドネシアではあまり多く食べられてはいません。特に、インドネシアでは、ジャワ島などの段々畑のかなり上の方でじゃがいもが栽培されているのですが、 高級野菜であって庶民の食べ物とはなっていないようです。