JRT 日本いも類研究会(Japanese society of root and tuber crops) 
ニュースレターNo.5 1997/5/30



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サイボクハムの新ジャガ祭り


 サイボクハム(株式会社埼玉種畜牧場)は創業50年の歴史をもち、種豚→肉豚→ハム・ソーセージ製造→直売の一貫経営により、ナチュラルな豚肉製品を消費者に提供している企業です。企業経営のコンセプトは「食文化の創造」、そして「緑の牧場から食卓へ」をスローガンに、ミートショップやレストランで焼きたてパンや新鮮有機野菜なども供給しています。
 ショップではコロッケ(4種)の発売が好評、また、肉のつけあわせに北海道の男爵薯を使っています。今回、サイボクハムでは、じゃがいもと豚肉、ハム・ソーセージの組み合わせの相性がよく、料理のバリエーションも豊かであることに着目して、以下のような「新ジャガまつり」を企画していますのでご紹介します。
 
 1.目 的 関東の消費者への新ジャガ(長崎県産)のPR
 2.主 催 サイボクハム本店、長崎県種馬鈴薯協会
 3.後 援 日本いも類研究会
 4.期 間 平成9年6月10日〜15日
 5.場 所 サイボクハム本店ミートピアハウス(イベント広場)
350-12 埼玉県日高市下大谷沢546 (最寄りの駅は、西武新宿線「狭山市」駅)
 [TEL]0429-85-0869 担当:営業部 山田
 

          催事内容
 【6月10日(火)〜15日(日)】
  1)ミートピアハウスでの展示即売会
   ・新じゃがの即売会(デジマ、ニシユタカ、アイノアカ、西海26号)
 ・ミート&ポテト料理の提案(レシピを配布)
 ・パネル・資料展示
 【6月13日(金)】
 2)レストランでのセミナー&パーティ      
   ・パーティ「品種別の食べ比べ」       12:30〜13:30
   ・セミナー「新ジャガのおいしさ・栄養再発見」 13:30〜15:00

 
 サイボクハムでは、これを契機に重要な食材である馬鈴しょについて、社内でも栽培法や調理特性と料理法などについて勉強会を開くなど、取り組みを強化するようです。このような、取り組みが広がれば、外食そして消費者ニーズを反映した、馬鈴しょの需要拡大が期待できるのではないでしょうか。


■『MiNi白書』の改定内容


 『MiNi白書』シリーズについては、現在、「じゃがいも」はVer.1.3、そして、 「さつまいも」の方は、素案の原稿が7割くらいまで出来上がった段階です。会員の方々には、改定された最新のものをお届けしたいのですが、増刷が間に合いませんので、とりあえずFAXニュースレターでお知らせしています。以下はbSに続いて「ひとくちメモ」の追加です。
(1)暖地向けの多目的プランター


経営規模の大きい北海道では大型機械による一貫作業体系が普及していますが、都府県、特に西南暖地では機械化が遅れていました。そして、農家の高齢化もあって作付面積は大きく減少しています。
 このような現状を打ち破るために、カルビーポテトがヤンマー農機と共同で開発したのが多目的プランターです。この作業機は作溝、植付、覆土、畦立、鎮圧、マルチなどの多くの作業を1工程で実施できるので、労働時間の短縮と作業強度の軽減が実現できるのが魅力です。また理想的な畝型と植付深度等が得られますので、マルチとの相乗効果により収量、品質ともに大きく向上します。
 この多目的プランターにより、植付から出荷までの機械化一貫体系が確立したことにより、都府県での馬鈴しょ生産振興が期待されます。すでに現場では、コントラクターなどの新しい経営体も誕生しているのです。
(2)ニューロ制御とじゃがいも
近年のコンピュータの進歩により実現した技術の1つに、ニューラルネットワークがあります。人間の脳の情報処理を模倣したもので、学習によって知識や判断力が増え、複雑な情勢変化にも対応出来るという特徴があります。
食品産業電子利用技術研究組合では、平成8年度から食品製造におけるニューロ制御技術の開発に着手しましたが、このなかで椛O川製作所は「内部障害をもつじゃがいもの画像処理による検出」や「サクサク感やホクホク感を逃さずに長期保存するためのアルファ凍結」などのテーマに取組んでいます。
 国産の冷凍加工調整品の品質向上と需要の拡大にむけて、このような技術開発がどんどん展開して欲しいものです。
(3)エスぺランサ・ローハ&ビオレータ


花も実もある「じゃがいも」ですが、鮮やかな花をもつ鑑賞用の品種が登録されました。十勝農業協同組合連合会が育成したもので、赤紫色でバラのような花を持つ「エスペランサ・ローハ」と野生的な草姿と紫花を持つ「工スペランサ・ビオレータ」です。
 いずれも南米原産の野生種と「インカの星」を交配したもので帯広市内のレストランで鉢植えを飾っていますが、お客さんの関心を集めているようです。はるか昔アンデス原産のじゃがいもがヨーロッパに初めて持ち込まれた時は、鑑賞用であったといいますから、決して不思議な話ではありません。
 じゃがいもは、植物防疫上の問題もあって増殖の方法に難しい面がありますが、この美しい花を多くの人に楽しんでもらえれば、需要の拡大にも役立つのではないでしょうか。
 

■馬鈴しょの市況


4月18日の日本農業新聞に「バレイショが低迷」ということで、3月下旬〜4月上旬の市況が低迷していることが紹介されています。ポイントは、
鹿児島産の作付が増え、生育期の好天もあって4月上旬の東京市場への入荷量が例年の2.3倍になり、価格は4割安くなっている。
円安にもかかわらず増える輸入冷凍バレイショ(対前年比14%増、原料換算で50万t)が国産の加工仕向けを圧迫し、生鮮にも影響が及んでいる。
というものです。これについて、その後のデータを追加して分析してみましたので報告します。
 
月別統計による価格の推移


 
 図表から判るように、鹿児島産の入荷量は4月中旬には対前年比 3.6倍でピークに達し、長崎産も8割増となったことから価格は4月下旬には対前年比6割方安くなっています。この結果、グラフで判るように例年の4〜5月のピークが消えて価格が3月上旬の水準で横ばいから弱含みで低迷しています。
 これは、鹿児島県の島嶼部のさとうきび栽培地域で、昨年の高値の影響から作付を急増させた結果とみられます。今後は、市場への入荷量の平準化を図るために、地域別の作型についても再検討する必要があるのではないでしょうか。
 しかしながら、一方では小売価格は4月までの時点では昨年とほぼ同じ水準に留まっています。5月の価格をみなければ断言出来ませんが、生産者の手取り価格の減少が消費者には体感しがたい構造になっているところにも問題があるのではないでしょうか。
96年の馬鈴しょの輸入動向
 

数量228千トン、14.0%増、価格2億4400万ドル13.3%増で2ケタの増。
フライドポテトなどファーストフード向けの根強い需要があり、引き続き拡大。
米国が88.6%と圧倒的なシェア

資料:JETRO 2131より抜粋(数量は製品ベース)
 


■ 遺伝子組換え馬鈴しょをめぐる動向


  昨年、厚生省が安全性を確認して承認した遺伝子組換え食品の中には、馬鈴しょも含まれています。日本モンサント社が申請したもので、ラセットバーバンクという米国の代表的な品種に B.t.t蛋白質(備考参照)を産生する遺伝子を組み込んだものです。また、この5月13日には新たに、同じく日本モンサントからスーペリアとアトランティックという品種についても同じ遺伝子を導入したものが承認されました。
 

商品名
モンサント社ばれいしょ(ニュー・リーフ・ポテト)
→品種は、ラセットバーバンク、スーペリア、アトランティック
申請者
日本モンサント株式会社
開発者
Monsanto Company(米国)
 
遺伝子
害虫(コロラドハムシ等)抵抗性CryVA遺伝子(バチルス由来)
→B.t.t蛋白質を発現させる
→選択マーカーは抗生物質耐性NPTU遺伝子(大腸菌由来)
効 果
殺虫剤使用量と散布回数を大幅に削減出来る
 
備 考
米国(ラセットバーバンクは1994.9、他の品種は1996.4)
B.t.t蛋白質は既往の微生物農薬で、ヒトを含め哺乳類にはその受容体がないことから、たべても問題はない。

 
このように、我が国においても遺伝子組換えの表示が義務づけられていないままに、遺伝子組換え食品が流通することになったため、安全性や消費者の選択の機会が与えられないことを不安視する消費者の声が高まっています。この問題については、欧米諸国も、それぞれの事情によって取り組み状況は異なりますが、いずれも対応の方向を模索しているというのが現状です。
 このような中で、農水省は食品表示問題懇談会遺伝子組換え食品部会を開催して、遺伝子組換え食品の流通実態を踏まえた表示のあり方について検討を行うこととしています。懇談会は、消費者、生産・流通関係者、学識経験者からなる20名の委員で構成され、遺伝子組換え食品の表示のあり方について、委員だけでなくヒアリングによって広く有識者、関係者から意見を求める。
 消費者の要望や生産・流通の実態、FAO/WHO合同の食品規格委員会(コーデツクス委員会)の食品表示部会の検討状況、諸外国の取組み事例等を踏まえつつ議論を進める。

 会議の公開の扱いは、第1回目の会議で決めることとしていますが、5月30日に第1回を開催し、以後、年度内に数回開催する予定です。
 
食品表示問題懇談会遺伝子組換え食品部会委員
 

栗飯原景昭  大妻女子大学教授
荒井 伸也  サミット(株)代表取締役社長
伊藤 康江  消費科学連合会事務局長
貝沼 圭二  生物系特定産業技術研究推進機構理事
片桐 純平  日本生活協同組合連合会常務理事
金子 弘道  日経新聞社論説委員
川原 秀雄  油糧輸出入協議会専務理事
岸  ゆき  女優
神村 義則  (社)日本植物油協会専務理事
佐室 端穂  キリンビール(株)常務取締役
鈴木 敦   日本たばこ(株)取締役
 高田 卯基  カゴメ(株)常務取締役社会対応室長
 高野 博   全国農業協同組合中央会常務理事
 田中 里子  東京都地域婦人団体連盟参与
 知久 雅行  日本醤油協会専務理事
 長良 恭行  (財)食品産業センター専務理事
原田 宏   筑波大学名誉教授
藤巻 正生  東京大学名誉教授
○渡辺 武 (財)競馬・農林水産情報衛星通信機構会長
 和田 正江  主婦連合会副会長
 
 (○印:座長)

 
 
日本いも類研究会 ニュースレター第5号 1997.5.30 (計4枚) 次回の発行は6月の予定です。