JRT 日本いも類研究会(Japanese society of root and tuber crops)   ニュースレターNo.15 1998/7/7

お知らせ

 平成10年度会費納入がお済みでない方は「銀行振込」または「郵便振替」で払い込みをお願いします。(普通会員:\2000、賛助会員:1口 \20000

銀行振込  常陽銀行 研究学園都市支店 普通口座=1449951 名義=JRTつくば事務所

郵便振替  郵振口座=00180−7−362899 口座名義=JRTつくば事務所

会費の領収証は、「郵便振替受領証」、「銀行振込金受取書」をもって代えさせていただきます

 

■数値に現れないばれいしょの需給の変化

日本いも類研究会 会長 梅村芳樹

 

この一年間、ばれいしょ産地、消費地を歩き回って得た情報、電話、FAXでやり取りした情報から差し障りのない範囲で需給の変化を報告する。

1.男爵いもの大量在庫

 LM以上しか集荷しなかった男爵いもが大量に残っている。4月の今でも「30トン、どこかで買ってもらえないか」などの電話があり、系統ではでんぷんにつぶし、それが売れてから精算すると聞く。商系ではたたき売り。価格の低迷は言うまでもなく、平均手取りキロ33円と言うJAもある。

2.キタアカリの明暗

 量販店、生協などとの契約出荷ではM規格まで順調に消費され、価格の低下もなかったが、市場出荷では未だに裾物扱いが多く、男爵いも以下の価格で苦しんだ生産者が少なくない。M下イモはでんぷん価の高いイモは一次加工向けに比較的高値で出荷されているが、低いのは引き取られない。

3.食用ばれいしょの契約生産・販売

 大手企業の取り組みが始まった。本州産地でもホッカイコガネを契約生産、関西以西の量販店に卸す。北海道産の男爵いも、メークインの経験を活用する。

4.でんぷん価(比重)取引の兆し

 加工向けの比重取引は定着しているが、食用男爵いもでも比重による価格差が付けられ始めた。今秋は一定でんぷん価以上だけを引き取る量販店が出現する。価格差を付ける動きは各地で見られる。

5.業務向け需要の入手先の変更

 今まで市場からスポット買いを主としていた中小の加工・総菜・外食業が量・質・価格の安定供給を始めた企業に切り替えている。これが市場価格の低迷の主因であろう。

6.差別化商品開発

 ある量販店が開発、商品化したキタアカリのサラダは30%高の価格設定、ビタミンC高含有の強調、良食味が好評でヒット、パックサイズを倍にして売り上げを伸ばし、このサラダが引き金となり、昨年度サラダ全体の売り上げが50%増になったという。このような差別化商品の開発はあらゆる企業が必死で進めている。産地へも差別化可能な原料の供給が求められている。

7.有機・無農薬ばれいしよへの関心の高まり

 外食、総菜、小売り(生協、量販店)業で関心が高まっている。既に産地と栽培条件、出荷方法などの契約も始まり、この流れは確実に大きくなろう。

 これらの,動きは消費者の「安全・良質」へのニ一ズの変化、それを先取りしようとする業界の対応によって起きている。生き残りをかけた業界の競争は厳しく、産地の選別は避けられない。立ち後れている産地の対応が急がれよう。対応が遅れると、オセアニア、北米、ヨーロッパからのオーガニックばれいしょの輸入が控えている。

 

 

■さつまいも産地の安全指数

(その1)………白いつぶつぶ

 

元三重大学教授 塩谷 格

 

 千葉県海上試験地(農林省)に、昭和17年赴任した近藤鶴彦氏は当時を次のように回顧している。「ここでは昭和15年頃から各地にさつまいもの収量が半減から皆無になるような被害が出て、農家の間では大きな話題となっていた。根にできたこぶの中の白いツブツブを見つけて、これが被害を起こす原因だと農家は言っていた。」 それは、サツマイモネコブセンチュウ(以下「センチュウ」という。)の雌成虫であった。近藤鶴彦氏は、以来この微小寄生動物の生態、防除の研究に専心した。

 同氏は抵抗性を判別するため、毎年この病気にかかりやすい品種を植え付けてセンチュウが均一に増殖したほ場を用意した。この方法は、今日の育種操作ではセンチュウほ場検定として受け継がれている。多数のクローン(個体)をこの検定圃場で育てて、抵抗性を評価する。センチュウは、細い根、土中の茎、やや太い非肥大大根、塊根の先端(尾部)にも寄生するが、これら植物体の各部分への寄生の程度には互いに高い相関関係があり、スミスとテイラー(1947)のゴール指数がこの疾患の良い代表値であることを示した。ゴール指数はゼロから100までの値を取り、ゼロは抵抗性であることを示す。例えば、抵抗性の品種では農林2号(ゴール指数0)、太白(0)、寄生される品種は農林1号(88)、沖縄100号(40)などと示される。昭和17〜28年の調査により多数のさつまいも品種の中から抵抗性品種が同定された。また、この抵抗性は年次変動を受けず、至極安定した遺伝的性質であることを指摘している。

昭和28年当時に立ち返ってみよう。この年の農林省統計によると、抵抗性品種とその占有率(栽培面積割合)は農林2号11.0%、農林3号1.4%、農林5号0.8%、農林9号0.3%、農林10号2.4%、太白5.0%であった。太白は関東各地に古くから栽培されていた在来品種である。初期の農林番号品種には抵抗性品種が多く、この特性が育種の中心課題であったことを伺わせる。抵抗性品種の占有率は、この病気に侵されないさつまいも集団の相対的な大きさ、又は感染のない健全な栽培地の大きさの疫学的指数ともいえよう。ここでは対象がセンチュウなので、センチュウ安全指数である。昭和28年の安全指数は上記の各品種の栽培面積割合の合計20.9%である。つまり、残り79%の栽培地は潜在的にこの病気を抱えていたことになる。戦争末期から戦後、毎日の「おいも」食に悲鳴を上げていた時期であるが、生産の現場もこのように多難で脆弱で悲鳴を上げていた。

 時間を戦前に遡る。既に引用した千葉県の場合は昭和15年頃のことである。そこでは昭和初期からこの病気が知られていたようである。まだ抵抗性の農林系品種の登場以前である。当時の千葉県の主要品種は、多収品種沖縄100号で、抵抗性品種としては太白のみであった。前期のような方法で表すと、安全指数は5.0%である。となると千葉県のような深刻な風景は全国のいも畑で普通にみられたのではないかと推測される。

それから、半世紀の今日、栽培されている品種メンバーは過去のそれとは大きく替わっている。では産地には漸進的な改善がみられたのであろうか。平成6年統計によると安全指数は13.1%となる。かえって昭和28年の安全指数20.9%より低く、事態は悪化、センチュウは安泰である。この指数13.1%の内訳は南九州でのでん粉原料用の抵抗性品種(農林2号、ミナミユタカ、シロユタカ、シロサツマ)による12.8%と青果用品種(ベニオトメ)の0.3%である(図1)。青果用栽培の安全指数がほとんどゼロである理由は、図1にみるように戦後まもなく脚光を浴びた高系14号系品種と昭和60年以後ベニアズマが広く栽培されており、ともにこの病気を拒絶するほどの抵抗性を欠くためである。特に高系14号は、センチュウ増殖に好適な品種である。統計には上がってこない抵抗性品種フサベニ(平成元年、農研センター育成)やベニオトメ(平成2年、九州農試育成)をもっと生かしたいものである。これらに許容できない短所があれば、太白のような抵抗性在来品種が再評価されても良いのではなかろうか。(次号につづく)

図1 青果用サツマイモと加工、原料用サツマイモの安全指数(平成6年)

青果用サツマイモ栽培の安全指数0.3は抵抗性品種ベニオトメの占有率、

また加工・デンプン原料用サツマイモ栽培の安全指数12.8は抵抗性品種

農林2号、シロサツマ、シロユタカ、ミナミユタカの占有率による。

 

 

 

 

■日本いも類研究会第2回総会の概要

 日本いも類研究会(JRT)第2回総会が、去る3月13日(金)、東京・南青山会館で開催されました。総会においては、平成9年度事業報告及び平成10年度事業計画(案)の説明を行いました。また、これに先だって甘しょ及び馬鈴しょに関する最近の話題をテーマとして、東京家政学院短期大学 津久井 亜紀夫教授から「さつまいもの栄養成分について」、ホクレン販売総括本部農産販売室 増田 公昭室長から「最近の馬鈴しょ流通状況について」、叶小商店代表取締役 斎藤 興平氏から「加工用甘しょの流通について」、カルビーポテト梶@田中 智取締役から「加工用馬鈴しょの需給状況について」それぞれ専門家の視点から話題を提供していただき、議論を行いました。

 総会終了後、引き続き、懇親会を行い、会員間の親睦を深めました。懇親会においては講演会で聞けなかったこと、その他日頃インターネット等で行っていた情報交換について会場のあちこちで熱心に議論が交わされていました。

平成9年度事業報告及び収支決算書

1.平成9年度事業報告

 (1) いも類の生産、流通、消費に関する資料並びに情報の収集及び提供

  1. 甘しょ及び馬鈴しょの『Mini白書』の内容を更新・拡充し、甘しょMini白書は760部、馬鈴しょMini白書は1,030部印刷配布した。
  2. また、馬鈴しょMini白書について英訳版を作成した。
  3. いも類に係る情報を内容としたFAXニュースレターを10回(4号〜13号)発行し、会員を中心に配布を行った。
  4. インターネットにホームページ(http://www.jrt.gr.jp/index.html)を開設し、いも類に関する情報発信を行うとともに、会員間の自由な情報交流の場を設けた。

 (2) いも類に関する研究会等の開催及び支援

  1.  おいもサミット「新たな甘しょへの挑戦 in 宮崎」(H9.12. 8 宮崎市にて開催)において、甘しょMini白書を配布し、一般消費者及び甘しょ関係者等に対し広く情報提供を行うとともにいも類研究会への参加を呼びかけた。
  2.  全国農業協同組合連合会が開催した「じゃがいも新品種試食会」(H9.10.25 東京にて開催)を支援し、馬鈴しょ新品種、品種に即した調理法等を紹介した。
  3.  馬鈴しょ新品種試験栽培を実施し、キタアカリ、ベニアカリ、とうやの3品種を生産農家から一般家庭にまで提供し、新品種の普及に努めた。

2.平成9年度収支決算

《収入の部》             (単位:円)

予算額

決算額

増 減

備   考

1.前年度繰越金

0

423,849

423,849

2.普通会員会費

400,000

406,000

6,000

196名

 

3.賛助会員会費

900,000

660,000

△240,000

22名

 

4.研究会参加費

200,000

1,089,080

889,080

試験栽培収入

 

5.助成金収入

1,500,000

1,500,000

0

情報システム構築等

 

6.その他

0

305,381

305,381

総会会費、書籍等

 

3,000,000

4,384,310

1,384,310

 

《支出の部》             (単位:円)

予算額

決算額

増 減

備   考

《事業費》

2,540,000

3,224,293

684,293

1.資料編集・配布費

400,000

331,484

△ 68,516

Mini白書作成及び英訳

 

 ・通信運搬費

200,000

59,665

△140,335

   

 ・消耗品費

100,000

11,308

△ 88,692

   

 ・原稿料・編集費

100,000

260,511

160,511

   

2.情報システム構築費

1,440,000

1,523,327

83,327

JSAI及びITN協議会・FAX ニュースレター作成及び配送

 

 ・ネットワーク参加費

140,000

0

△140,000

 

 ・通信運搬費

300,000

523,327

223,327

   

 ・いも類情報発信システム

1,000,000

1,000,000

0

   

  構築・運営費

         

3.研究会費

400,000

1,121,039

721,039

馬鈴しょ新品種試験栽培等

 

4.総会費

300,000

248,443

△ 51,557

 

《管理費》

460,000

403,359

△ 56,641

   

1.業務委託費

400,000

400,000

0

JSAIへの事務局業務委託

 

2.通信運搬費

30,000

3,359

△ 26,641

   

3.消耗品費

30,000

0

△ 30,000

   

《小 計》

3,000,000

3,627,652

627,652

   

次年度繰越

0

756,658

756,658

3,000,000

4,384,310

1,384,310

 

平成10年度事業計画及び収支予算書

1.平成10年度事業計画

 甘しょ及び馬鈴しょのいも類の振興を図るため、いも類に係る公益団体と協力して、消費者、外食・食品加工産業・市場関係者、生産者、学識経験者等の情報交流を促進する。

 (1) いも類の生産、流通、消費に関する資料並びに情報の収集及び提供

  @ 馬鈴しょ及び甘しょの『Mini白書』の内容を更新・拡充し、印刷・配布する。

  A いも類研究会ホームページについて、情報の更新とともに内容の拡充を図る。

  B FAXニュースレターを引き続き発行し、きめ細かな会員への情報提供を行う。

 

 (2) いも類に関する研究会等の開催及び支援

  @ おいもサミットを開催し、いもの功績、機能等について紹介する(東京を予定)

  A いも類の栄養面の見直し等に関する研究会を開催する。

  B いも類新品種の試食会、試験栽培及びサンプル提供の支援を行う。

2.平成10年度収支予算

《収入の部》             (単位:円)

予算額

前年度予算

増 減

備   考

1.前年度繰越金

756,658

0

756,658

2.普通会員会費

400,000

400,000

0

200名

 

3.賛助会員会費

900,000

900,000

0

30名

 

4.研究会参加費

200,000

200,000

0

   

5.助成金収入

1,000,000

1,500,000

△500,000

情報システム構築等

3,256,658

3,000,000

256,658

 

《支出の部》             (単位:円)

予算額

前年度予算

増 減

備   考

《事業費》

2,390,000

2,540,000

△150,000

1.資料編集・配布費

400,000

400,000

0

Mini白書作成及び英訳

 

 ・通信運搬費

200,000

200,000

0

   

 ・消耗品費

100,000

100,000

0

   

 ・原稿料・編集費

100,000

100,000

0

   

2.情報システム構築費

1,390,000

1,440,000

△ 50,000

JSAI及びITN協議会・FAX ニュースレター作成及び配送

 

 ・ネットワーク参加費

140,000

140,000

0

 

 ・通信運搬費

500,000

300,000

200,000

   

 ・いも類情報発信システム

750,000

1,000,000

△250,000

   

  構築・運営費

         

3.研究会費

400,000

400,000

0

馬鈴しょ新品種試験栽培等

 

4.総会費

200,000

300,000

△100,000

 

《管理費》

460,000

460,000

0

   

1.業務委託費

400,000

400,000

0

JSAIへの事務局業務委託

 

2.通信運搬費

30,000

30,000

0

   

3.消耗品費

30,000

30,000

0

   

《小 計》

2,850,000

3,000,000

△150,000

   

  予備費

406,658

0

406,658

3,256,658

3,000,000

256,658

 

■馬鈴しょ新品種栽培への申込お礼(JRT事務局より)

馬鈴しょの新品種栽培には476名と多数の方お申し込みいただき、ありがとうございました。皆様方の「おいも」はいかがお過ごしでしょうか。

遅ればせながら、お申し込みいただいた方々の詳細をお知らせします。476名のうち、会員は41名、非会員が435名でありました。今後、これらの非会員の方々にも、ぜひいも類研究会の会員になって欲しいですね。

申込者を地方別にみると、関東地域が29%、近畿地域が23%と都市部を中心に多く、なかでも大阪府が42名と最もたくさん申込をいただきました(申込案内を掲載していただいた”Yファミリー”が関西中心だったせいでしょう)。一方、九州、中国、四国地域は案外少なかったのですが、これは、配布時期が暖地にとってやや遅かったせいもあるかもしれません。

ともあれ、皆様方のいもが無事収穫できることをお祈りするとともに、収穫されたいもの感想をお待ちしております。

日本いも類研究会 ニュースレター第15号 1998.7.7 (計4枚) 次回の発行は8月の予定です。