X.奨励品種に採用しようとする理由

ばれいしょ栽培には、病害虫防除、除草などに多くの薬剤が用いられており、減農薬や無農薬栽培を行うには、収量の低下や塊茎の腐敗をもたらす疫病を回避することが最も重要である。その手段として、早生品種を前進栽培によって疫病の蔓延前に収穫したり、あるいは疫病圃場抵抗性品種を栽培することが考えられる。しかし、「男爵薯」などの早生品種は圃場抵抗性が弱いので、減農薬・無農薬では安定した生産が難しいばかりでなく、でん粉価やビタミンCなど品質も低下しやすい。また、北海道の奨励品種で実用レベルの疫病圃場抵抗性を有する品種は、ジャガイモシストセンチュウ抵抗性を持たない「マチルダ」しかなく、線虫発生地域での栽培はすすめることができない。
「花標津」は、疫病圃場抵抗性がきわめて強く、疫病無防除栽培においても収量や品質の低下がきわめて少ない。さらに、ジャガイモシストセンチュウ抵抗性を有することから、ジャガイモシストセンチュウ発生圃場での作付けも可能である。また、淡赤皮・淡黄肉であることから、北海道が目指しているクリーン農業の専用品種として差別化することも容易である。「花標津」の大きな赤紫色の花は開花期間も長いので景観的な利用や、鑑賞と実益を兼ねた家庭菜園やベランダ栽培用としても期待される。
「花標津」は、道内に栽培される主要食用品種に比べ栽培特性は劣るが、減農薬・無農薬を志向する生産者および消費者の需要を開拓するための専用品種として普及をすすめる。


表V-1 北海道内の食用ばれいしょ品種の普及見込み面積
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 系統名または品種名        平成8年             平成13年      
                         作付面積(ha)        普及見込み面積(ha) 
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 花標津                        −                200     
 男爵薯                  17,730          17,630     
 メークイン                7,610            7,510     
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注) 平成8年作付面積は北海道農政部畑作園芸課調べによる




VI.配布しうる種苗量

 200kg



VII.適地

1.適地 : 北海道一円
2.奨励品種採用予定県 : 北海道
3.普及見込み面積 200ha




VIII.栽培上の注意

1.塊茎形成および肥大が遅いので、浴光催芽、早植えなど初期生育の確保につとめること。
2.疫病の無防除と組み合わせて他の薬剤の使用も控える場合には、土壌病害や軟腐病、菌核病の発生が多い圃場での栽培を避けること。
3.収穫後は、赤皮で緑化いもとの識別が難しいので、遮光シートで覆うなど曝光を避ける。
4.休眠が短いので、低温貯蔵につとめること。





IX.育成従事者

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       年次  昭59   60    61    62    63   平元  2〜4   5    6    7    8
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     試験名   交    実   個体  系統  生検   生    保    生    生    生    生  
 従事者名     配    生   二次  選抜  予備   検    存    検    検    検    検  
───────────────────────────────────────
 伊藤  武                                                 ←───────→
 奥山 善直 ←───────→
 村上 紀夫 ←─→            ←───────→      ←─→
 入谷 正樹 ←──────────→
 松永  浩       ←─────────────→      ←────→
 千田 圭一                         ←────→      ←──────────→
 関口 建二                                                       ←────→
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