T さつまいもの特徴

 さつまいもは、私達にとって身近な作物ですが、救荒作物というマイナスイメージがあるのは事実です。「肥満のもと」と思い込んでいる人も意外に多いのではないでしょうか。実は、さつまいもは様々な栄養素を含んだ、高機能・低カロリーで美容にも効果的な食物なのです。以下、さつまいもの特徴についてのアウトラインを紹介します。

1.ヘルシーで豊富な栄養
 近年、消費者の健康志向、自然志向が高まるにつれて、さつまいもの良さが再認識されてきました。主成分はでん粉ですが、各種ビタミンやミネラル類も豊富に含まれています。また、セルロース、ペクチンといった食物繊維が非常に多く含まれているのが特徴です。たんぱく質と脂肪を補給すれば、理想的な食事ができるという意味で準完全食品といえるでしょう。

○ さつまいもの主な栄養成分

【ビタミン類】

βーカロテン

体内でビタミンAに変わり、体内で脂質抗酸化物質として機能し、生体膜を守り、ガン細胞の増殖を抑制すると言われている。

ビタミンB1

さつまいもに多く含まれているビタミンの一つ。糖質の利用を助ける作用があり、不足すると疲労感が増す。

ビタミンC

リンゴの10倍以上も含まれていて、細胞の結合を強化するコラーゲン生成を助ける機能がある。さつまいものビタミンCは、加熱調理しても糊化したでん粉の作用により壊れにくい。

ビタミンE

老化現象のもとになると言われる過酸化脂質が体内にできるのを抑制する働きがある。

【ミネラル類と食物繊維】

カリウム

腎臓からナトリウムを排出する作用を持ち、血圧低下に効果的。米飯の18倍もの量が含まれている。他の野菜類と比較しても極めて豊富。

食物繊維

他の野菜に比べると食物繊維を多く含んでいる。便秘を解消させる作用だけでなく、血液中のコレステロールを低下させる作用や血糖値をコントロールする働きもある。



2.多彩な加工利用
 さつまいもの特徴は、加工用途の幅が極めて広いことです。青果用として一般家庭での料理に使われるほか、焼きいもや大学いも、でん粉、菓子類、いも焼酎などの用途に用いられてきました。そして最近では、1次加工したダイス等の冷凍食品、フレーク、さらにはジュースなど、仕向先は極めて豊富です。また、紫いもは色素原料用にも用いられています。

○ さつまいもの加工利用

でん粉用

清涼飲料の甘味料、春雨、くずきり、クエン酸など

食 品 用

菓子用

干しいも(蒸切干し)、いもようかん、いもせんべい、いもかりんとう、いも甘納糖、いも飴、きんつば、スイートポテト、クッキー、ケーキ、アイスクリームなど

惣菜用

大学いも、サラダ

1次加工品

冷凍ダイス、フレーク、ペースト、ジュース、パウダー

醸造用他

甲類及び乙類(いも焼酎)、ビール(発泡酒)、ワイン


3.合理的で環境に優しい畑作物
 さつまいもは、関東、南九州等の畑作地域では、作付体系上欠くことのできない基幹作物です。特に戦中、戦後の食糧事情の悪かった時代においては、関東以西の畑地の夏作物は、ほとんどさつまいもといっていい状態でした。農家の経営という面からみた場合の特徴は次のようになります。

○ 畑作物としての特徴

【粗放的作物である】
  さつまいもは、地上部が繁茂すると雑草の発生をおさえるので、収穫時期まではほとんど手間がかからない。収穫期間も長く、労力配分や前作後作の選定の自由度が高い。

【環境保全的である】
 根の養分吸収力が他作物よりも強いので、温度条件さえ満たせば、不良火山灰土や酸性土壌などでもある程度の収量が期持できる。窒素施肥量が少なくてすむので環境保全的でもある。また、他の野菜などに比べて農薬の使用量が少ないため地下水を汚染する恐れも少ない。

【気象災害に強い】
 地上部がほふく性のために風害に強く、茎葉が地表面を完全に覆うので土壌侵蝕・流亡を防ぐ。また土壌水分の蒸発をおさえ、干ばつ被害も軽減される。低温による障害以外は、生産が安定していて豊凶差が少ない。