三円薯

原品種名:Vermont Gold Coin
異名:オコッペいも


(1)来歴

 アメリカで「Old Jersey Peachblow」の実生から育成された、原品種名を「Vermont Gold Coin」という品種で、明治38年(1905)に青森県農事試験場がアメリカから輸入したものです。そのときの価格が6個で3円(当時は白米1俵5円30銭)したため「三円薯」と呼ばれるようになりました。大正5年(1916)に青森県の奨励品種になり、昭和11年(1936)には青森県(特に上北、下北、三戸)を中心に全国で7,219ha作付されていましたが、朝鮮戦争勃発時に、米軍の特別需要として国産のジャガイモが調達された際に、輪腐病の発生という販売上の事故が続いたことから、消滅に向かいました。
 平成になって、青森県大間町で農家が自家用に作り続けていた「オコッペいも」(大間町奥戸(オコッペ)で主に栽培されていたことによる)が「三円薯」であることが確認され、地域の特産品として再び生産・販売されるようになりました。平成12年(2000)に青森県で29ha作付されています。

(2)特性

 茎の長さは長い。熟期は晩生です。いもの皮色は黄白、形は扁卵で輪郭はやや不規則なところがありますが、大きく外観は良い。休眠が長く、貯蔵しやすい。疫病などの病害には弱い。肉色は白で、肉質は粉質度は特に高くなく、粘質でもありませんが、煮えやすく粉をふきます。食味は淡泊でいてコクがあり良好です。煮くずれは少ない。


川上幸治郎.“馬鈴薯の栽培及利用”.大日本農会.(1939) p.74
 三円薯(ヴアモントゴールドコイン,Vermont Gold Coin) 明治38年青森県農事試験場にて米国より輸入せるもので当時6個の価格3円なりしため,三円薯なる名称を成すに至つた。草勢剛健にして生産力亦強大なるも,ヴアイラス病抵抗性稍々弱く退化し易い欠点がある。青森県は本種の主産地であり,又採種上の努力も大なるものがあり,種薯の産地でもある。青森県の中,上北,下北,三戸等の諸郡は最も本種の栽培多く県下作付反別の75%を占める。
 薯は稍扁平味のある楕円形にして、黄白色の大形なるもの多く煮崩れ少なく副食用として最も好適する。粉状度は特に高くは無いが,粘質では無く食味佳良であるから主食用にも好適する。又澱粉含量中庸であり,収量多く,工用としても亦適するであらう。



文献及び関連Web

鈴木茂.“青森県における馬鈴薯について”.いも類振興情報.64,11-15(2000)

川上幸治郎.“馬鈴薯の栽培及利用”.大日本農会.(1939)
ジャガイモ品種「三円薯」 (ジャガイモ博物館(浅間和夫氏による解説))
ジャガイモの値段 (ジャガイモ博物館 ポテトエッセイ第8話)








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