日の丸一号

(5) 日の丸一号 (樺試育第二一六〇号)

 本種は本所に於て人工交配法により育成したる耐病性品種にして,早熟性品種「樺在来一号」を母とし,疫病に対する抵抗性強き「グラチオラ」を父とせる第一代雑種の中最も耐病性の強き第16系統(白花)に対し新に斯く命名せるものなり。本島の風土に恰適し,早熟性にして且収量,品質共に優良なり。
 本種の特性は母系の「樺在来一統」に類似せるも,薯塊は細長く長卵形を呈し,表皮は淡紅色にして冠部の方基部より濃紅色を呈し,目は浅く,肉色は淡黄白色にして,その断面に赤色のりングを生ず。
疫病に対する抵抗性極めて強<,無防除にても相当の収量を挙げ,澱粉含有率は16.2%に及ぶを以て,澱粉製造用並に煮食用に適す。
 開花期は8月上旬,収穫期は10月上,中旬なり。



文献

進藤省三・渡邊保治 主要農作物優良品種の解説 樺太庁中央試験所彙報 第32号 第1類(農業)第12号 (1938)  【北海道立文書館蔵】






じゃがいも品種詳説 TOP