こがね丸

登録番号 農林認定 ばれいしょ農林55号 2006.10. 4
種苗法  第17448号 2009. 2.24
北海道優良品種 ばれいしょ北海道第46号 2006. 2.13
地方番号 北海90号    
系統名 勝系 2号    
系統番号 95046-11    
組合せ ムサマル × 十勝こがね   系譜図

インカのひとみの花 インカのひとみの草姿 インカのひとみの塊茎
 (北海道農業研究センター) 草姿 (北海道農業研究センター) 塊茎 (北海道農業研究センター)
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用途 加工用(フライ用)
長所
  • ジャガイモシストセンチュウ抵抗性を持つ。
  • 多収である。
  • 曝光によるグリコアルカロイド増加が少ない
短所
  • 打撲に弱い。
  • 塊茎腐敗抵抗性がやや弱である。

(1)来歴

 「北海90号」は旧農林水産省北海道農業試験場(現(独)農業・食品産業技術総合研究機構北海道農業研究センター)において、ジャガイモシストセンチュウ抵抗性で低グリコアルカロイド、多収・高調理加工適性の品種育成を目標として、「ムサマル」を母、「十勝こがね」を父として平成7(1995)年に交配採種し、平成9年に播種した実生集団より選抜された系統ある。
 母の「ムサマル」は、低グリコアルカロイド、淡黄肉でフライ適性に優れ、ジャガイモシストセンチュウ抵抗性遺伝子H1を有する中晩生多収の品種で、父の「十勝こがね」は淡黄肉でフライを含む調理適性全般に優れ、休眠期間が長くジャガイモシストセンチュウ抵抗性を有する早生の品種である。
 平成10年(1998)に圃場で個体2次選抜試験を行い、平成11年(1999)に系統選抜試験、平成12年(2000)には「95046-11」の名で生産力検定予備試験に供試、平成13年(2001)の生産力検定試験により「勝系2号」を付した。平成14年(2002)の生産力検定試験及び系統適応性検定試験用により、「北海90号」の地方番号を付した。平成15年(2003)より北海道の奨励品種決定基本調査、平成16年(2004)より同現地調査に供試し、フライ加工用品種としての実用性について検討した結果、平成18年(2006)に北海道の優良品種に決定し、同年10月に農林水産省によりばれいしょ農林55号として認定され「こがね丸」と命名された。
 オホーツクと十勝地方を中心に平成24年(2012)に337ha作付けされたが、その後作付面積はやや減少し300haを割っている。オホーツクでは大部分が澱粉原料用としての作付けである。
(「こがね丸」の系譜図へ)


(2)形態的特性

 そう性は「ホッカイコガネ」よりやや開く“やや直”で、茎長や“やや長”、茎色は“緑”で“赤紫”の二次色が入る。茎の太さは「ホッカイコガネ」並の“中”、分枝数は“少”です。小葉の色は「ホッカイコガネ」より薄く“やや淡緑”で、小葉の形は“中”、着生の疎密は“やや密”である。開花数は“中”、花色は「ホッカイコガネ」と同じ“赤紫系”で、大きさは「ホッカイコガネ」より大きい“大”、自然結果は「ホッカイコガネ」より少ない“少”である。いもの形は「ホッカイコガネ」より短い“楕円”で、皮色は“黄褐”、目の深さは“浅”で、目の数は“やや少”である。肉色は「ホッカイコガネ」と同じ“淡黄”である。

(3)生態的特性

 休眠期間は「ホッカイコガネ」よりやや長い“やや長”、枯凋期は「ホッカイコガネ」並の“中晩”、初期生育は「ホッカイコガネ」よりやや早い“中”である。上いも重は“多”、上いも数は“中”、上いも平均一個重は“大”で、「ホッカイコガネ」並である。澱粉価は「ホッカイコガネ」よりやや高い“やや高”である。

(4)病害虫抵抗性

 ジャガイモシストセンチュウに対して抵抗性を持ち、同線虫抵抗性遺伝子H1を有する。疫病圃場抵抗性は“弱”、そうか病は“弱”で「ホッカイコガネ」並である。疫病による塊茎腐敗抵抗性は「ホッカイコガネ」より弱い“やや弱”、Y モザイク病抵抗性は“弱”である。
 塊茎の生理障害では、中心空洞は「ホッカイコガネ」より多い“微”、二次生長は「ホッカイコガネ」より少ない“無”、褐色心腐と裂開は「ホッカイコガネ」並の“無”である。

(5)品質特性

 水煮による煮くずれの程度は「ホッカイコガネ」よりやや多い“中”、調理後の肉質は「ホッカイコガネ」よりやや粉質の“中”である。チップ・フライの褐変程度は「ホッカイコガネ」並の“少”で、フライに適し、用途は“加工用”(フレンチフライ用)である。

(6)適地及び栽培上の注意

普及見込み地帯:北海道の加工原料用ばれいしょ栽培地帯

・打撲黒変耐性が弱なので、収穫や移送時に打撲を与えないように注意する。
・「ホッカイコガネ」より中心空洞が発生しやすいので、十分な培土を行い、疎植・多肥を避ける。
・疫病による塊茎腐敗にやや弱いため、枯凋期が「ホッカイコガネ」より遅れる場合は、生育後期まで適正な防除に努める。

育成従事者

森 元幸、小林 晃、高田 明子、津田 昌吾、高田 憲和、梅村 芳樹、中尾 敬、百田 洋二、串田 篤彦、植原 健人



文献及び関連Web

竹内徹,長尾明宣,南橋昭,白井滋久 編.“農作物優良品種の解説 (2005〜2013)”.北海道立農業試験場資料 第41号(2014).北海道立総合研究機構農業研究本部

フライに適し大粒・多収のばれいしょ新品種候補「こがね丸」 (研究成果情報 北海道農業(2006))

ばれいしょ新品種候補「北海90号」 (PDF版) (農業技術情報広場

フライドポテト用ばれいしょ新品種「こがね丸」 (北海道農業研究センター生まれの作物たち 北海道農業研究センター育成品種一覧







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