シャドークイーン

登録番号 農林認定 ばれいしょ農林57号 2006.10. 4
種苗法  第17574号 2009. 2.26
北海道 (地域在来品種等)
地方番号 北海92号    
系統名 勝系 3号    
系統番号 93080-8    
組合せ キタムラサキの開放受粉 系譜図

草姿  (北海道農業研究センター)  (北海道農業研究センター) 塊茎 (北海道農業研究センター)
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(1)来歴

 旧農林水産省北海道農業試験場(現(独)農業・生物系特定産業技術研究機構 北海道農業研究センター)において、アントシアニン色素を高濃度に含有する生食用品種育成を目標として、1993年に「キタムラサキ」の開放受粉種子を採種し、1997年に実生個体選抜を開始した中から選抜された品種です。2001年の生産力検定試験により「勝系3号」の系統名を付し、2002年の生産力検定試験及び系統適応性検定試験により「北海92号」の地方番号を付して試験を行った結果、紫肉ばれいしょを用いた加工製品などの色調安定のために色素濃度の高い副原料として使用可能であり、ばれいしょアントシアニンならではの機能性に着目した研究により健康志向の食材として利用が期待されるため、品種登録を申請し、2006年にはばれいしょ農林57号「シャドークイーン」の名で命名登録されました。

(「シャドークイーン」の系譜図へ)

(2)形態的特性

 そう性は“中間”で、分枝数は“少”です。茎長は「男爵薯」より長い“やや長”、茎色は“紫”、茎の太さは「男爵薯」より太い“やや太”です。小葉の色は「男爵薯」より淡く“緑”、大きさは“小”、小葉の形は「男爵薯」より狭い“細”、小葉着生の疎密は“疎”です。開花数は「男爵薯」と同じ“多”、花色は“白”で、紫”の二次色が“星型”に分布しています。「男爵薯」とは異なり葯色は“黄”に紫の筋が入ります。花粉の量は“少”ですが、自然結果は“稀”です。ふく枝の長さは「男爵薯」より長い“中”で、いも着生の深浅は“深”で頂部は真下に向きます。いもの形は“長楕円体”で、「男爵薯」と異なり皮色は“紫”、肉色も“紫”です。目の深さは“浅”で、目の数は“中”です。

(3)生態的特性

 初期生育は「男爵薯」より遅く“中”で、熟性は「男爵薯」より遅い“中晩生”です。いもの早期肥大性は「男爵薯」より遅く“中”で塊茎の粒揃いは「男爵薯」より良く“やや整”です。上いも重及び中以上いも重は「男爵薯」よりやや多い“やや少”、上いも数は「男爵薯」より少なく“少”で、上いも平均一個重は「男爵薯」より大きい“中”で、澱粉価は「男爵薯」より高い“中”です。休眠期間は「男爵薯」並の“やや長”です。

(4)病害虫抵抗性

 「男爵薯」と同様にジャガイモシストセンチュウに対し“弱”で抵抗性はありません。疫病圃場抵抗性は“やや弱”、塊茎腐敗抵抗性は“強”、そうか病抵抗性は“やや弱”、Yモザイク病抵抗性は“弱”です。
 塊茎の生理障害は、二次生長が「男爵薯」より多い“少”、褐色心腐及び中心空洞は“無”、裂開も“無”です。

(5)品質特性

 水煮による煮くずれの程度は「男爵薯」並の“中”、調理後黒変は少なく“微”です。肉質は“中”で、食味は“中上”です。チップ・フライの褐変程度は「男爵薯」より少なく“少”です。用途は“調理用”です。



文献及び関連Web

森元幸・高田明子・小林晃・津田昌吾・遠藤千絵・梅村芳樹・高田憲和・米田勉・木村鉄也・中尾敬・吉田勉・百田洋二・串田篤彦・植原健人・椎名隆次郎・林一也 (2009).有色バレイショ品種「キタムラサキ」,「ノーザンルビー」および「シャドークイーン」の育成.育種学研究.11(4):145-153

カラフルポテトの新顔A紫肉の新品種候補「北海92号」【技術普及】 (北海道農業研究センター 平成17年度北海道農業研究成果情報 )

ばれいしょ地域在来品種等の特性「北海91.92.93号」 (農業技術情報広場 試験研究成果)


シャドークイーン(北海92号) −アントシアニン色素を含有する紫皮紫肉のばれいしょ品種 − (北海道農業研究センター プレスリリース)

「ブランド・ニッポン」開発品種(2) カラフルポテト次世代 (農畜産業振興機構 月報「野菜情報」2006.12)

濃紫色のカラフルポテト新品種「シャドークイーン」 (北海道農業研究センター生まれの作物たち 北海道農業研究センター育成品種一覧
調理用に優れたばれいしょ3品種「ノーザンルビー」「シャドークイーン」「インカのひとみ」 (農林漁業金融公庫 (技術の窓No.1417))




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