ルーラルニユヨーカ第2号
長白

原品種名:Rural New Yorker No.2


北海道農事試験場報告.1(1903.3) より

(1)来歴

 原品種名を「Rural New Yorker No.2」といい、アメリカで「Rural New Yorker」の実生を数回繰り返して1888年に育成された品種です。
 明治27年(1894)年にアメリカから導入され、札幌農学校で明治30年(1897)(宮澤春水“じゃがいも今昔”によれば明治29年?)から34年(1901)にかけて品種試験が行われています。
 明治38年(1905)に「ルーラルニユヨーカ第2号」として優良品種に決定、大正時代に栽培が多かった品種です。大正4年(1915)に「長白」の和名に改名されましたが、「アメリカ大白」、「長白」、「晩生白」は類似しているので、大正5年(1916)に「アメリカ大白」を主として奨励することに決定したため、優良品種から廃止されました。
“馬鈴薯”.北海道農事試験場彙報.6(1908)によれば、“ルーラル、ニユーヨーカー第二  晩熟なり長楕円形にして芽浅く外皮は淡黄色なり、茎の成長旺盛にして馬鈴薯疫病に堪ゆる力強く反当産額の多きこと此の右に出づるものなく、薯塊の重量一個百匁以上に達し平均一個の重量三十一匁内外なり味は美なり、此種は嘗て米国にて「ルーラル、ニューヨーカー」雑誌社の懸賞により始めて世に紹介されしものにして同国にて今も尚ほ良種中に数へらるると云ふ”

 なお、山崎俊次.“馬鈴薯の品種と其の特性”.(1936) によれば、
“羊蹄山麓地帯に栽培されてゐる長白(俗にルーラルと称してゐるがルーラルニユーヨーカ第二号とは異る。ルーラルニユーヨーカ第二号は花は紫色で薯の形は短楕円形に近い)は地上部はアメリカ大白に似てをり、花はクリーム色、薯は黄白色で形はアメリカ大白よりも長い長円筒形で目が多い”と述べています。
 さらに、宮澤春水.“じゃがいも今昔”.(1946) p.33 には、
“北海道農事試験場は本作物の重要性に鑑みて、同場創立翌年の明治三十五年からジヤガイモ品種試験、播種期節試験、摘花試験、種薯大小対切断法試験、畦溝深対培土回数試験、厩肥用量試験等を行つてゐる。そしてその蒐集された品種を見ると、前記の札幌農学校のものと同一である。おそらくこれは同校から譲り受けたのもであらう。
 茲でちょつと申添へて起きたいことは、ルーラルニユーヨーカー第二であるが、之はこの当時の記載が白花となつてゐるが、実は米国の本物は紫花である。(ウイリアム・スチアート氏著参照)私は前々から北海道に栽培されてゐるルーラルに疑問を抱いて居つたのであるが、其の誤りがこの頃から発したものであることがやうやく判明した。ルーラルニユーヨーカー第二は近頃あまりその栽培を見ないが、一時はヘブロンと共に本道に遍く広まったものである。さて従来のルーラルが誤りとすれば、この身代りルーラルが何品種であるかを確かめる必要があるが、私には今のところ見当がついてゐない。宿題として大方の研究を望んで置かう。”
とあります。



文献及び関連Web

北海道農事試験場.明治三十五年農事試験成績 馬鈴薯”.北海道農事試験場報告.1(1903.3)
北海道農事試験場.“馬鈴薯北海道農事試験場彙報.6(1908)

北海道農事試験場.開道50年記念北海道博覧会出品物解説書 馬鈴薯”.北海道農事試験場彙報.19(1918)

窪田森太郎.“馬鈴薯の種類”.北海道農会報.3(26):2-6 (1903)
札幌農学校.“瓜哇薯収穫量及澱粉量”.北海道農会報.3(35):109-113 (1903)
山田勝伴.“本道馬鈴薯栽培の沿革”.北海道農会報.5(60):913-915 (1905)


山崎俊次.“馬鈴薯の品種と其の特性”.北農.3(9),349-351(1936)

宮澤春水.“北農文化叢書 じゃがいも今昔”.柏葉書院.(1946)


Rural New Yorker (European Cultivated Potato Database)


POTATO VARIETY INVENTORY (Potato Association of America)

Potato : Rural New Yorker (Canada's Heritage Seed Program)




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