農林1号


(1)来歴
千葉県農事試験場酒精原料作物指定試験地で育成されたもので、昭和17年に命名登録された。浦和赤、紅農林と呼ばれるものは、農林1号の芽条変異系統である。関東から中部・近畿に広く普及し、最盛期には10万haにまで達した。

(2)形態的特性
イモは下紡錘形、皮色は赤褐、肉色は淡黄から黄白で、粉質、肉質はやや硬いが、食味はよい。でんぷん歩留りは高い。

(3)生態的特性
萌芽・伸長はきわめてよく、育苗は容易である。やや繁茂型で耐肥性は低く、肥沃地や多肥条件ではツルぼけしやすく、痩せ地や少肥条件では減収する。挿苗の適期幅は広い。

(4)病害虫抵抗性
コクハン病に強く、ネコブセンチュウに弱い。貯蔵性は優れている。

(5)栽培上の注意
過湿条件ではツルぼけしやすいので、やや乾燥する洪積台地が適地である。

(6)用途
食用、でんぷん原料用品種であり、とくに焼きイモ用として人気が高い。