ハマコマチ(農林58号)


(1)来歴
 ハマコマチ(九州122号)は、アメリカより導入した高カロテン系統「861-6」を母、多収でいもの外観・形状、蒸しいもの食味が優れている青果用用種の「ベニオトメ」を父とした交配組合せにより、独立行政法人農業技術研究機構九州沖縄農業研究センターで育成されたもので、平成15年に命名登録された。

(2)形態的特性
 しょ梗の長さは「中」、強さは「やや弱」、結藷の位置は「やや浅」で、掘取難易は「やや易」である。いもの形状は「短紡錘形」、いもの形状整否は「やや整」で、大きさ、大小の揃いとも「中」である。外観は「やや上」、いもの皮色は「淡赤」、肉色は「橙」でカロテンを多量に含む。

(3)生態的特性
 萌芽の遅速及び萌芽揃いの整否は「中」、萌芽の多少は「やや少」、萌芽性は「やや不良」である。育成地における上いも収量は「サニーレッド」や「コガネセンガン」を上回る。切干歩合、でん粉歩留まりは「サニーレッド」より3〜4ポイント低い。

(4)病害虫抵抗性
 病虫害抵抗性は、サツマイモネコブセンチュウ抵抗性は「強」、ミナミネグサレセンチュウ抵抗性は「中」、黒斑病抵抗性は「やや弱〜弱」である。貯蔵性は、「コガネセンガン」や「サニーレッド」より優れる「やや易」である。

(5)品質特性及び加工適性
 塊根の乾燥粉末に含まれるカロテン含量は、「サニーレッド」に比べやや高い。蒸しいもの肉色は「橙」で、食味は「サニーレッド」並かやや劣る。
 蒸切干の色は「濃橙」、肉質は「やや粘」で、食味は「中〜やや上」と優れ、蒸切干用加工原料に適する。

(6)栽培上の注意
 ネグサレセンチュウ抵抗性が「中」、黒斑病抵抗性が「やや弱〜弱」であるので、同病害虫の多発地帯では防除に努める。