オキコガネ(農林61号)


(1)来歴
 オキコガネ(農林61号)は、調理用多収品種の育成を目的として、早掘に向く「ベニワセ」を母、低糖でいもの外観が優れる「サツマヒカリ」を父とする交配組合せにより、(独)九州沖縄農業研究センターで育成されたもので、平成16年に命名登録された。

(2)形態的特性
 いもの形状は「短紡錘形」、大きさは「やや大」、外観は「やや上」で、いもの皮色は「淡黄褐」、肉色は「淡黄白」である。

(3)生態的特性
 萌芽性は「中」、育成地における上いも収量は標準栽培で「コガネセンガン」を上回っている。

(4)病害虫抵抗性
 病虫害抵抗性は、サツマイモネコブセンチュウに「中」、ミナミネグサレセンチュウに「やや強」、黒斑病に「中〜やや強」である。貯蔵性は「易」であり、貯蔵しやすい。

(5)品質特性及び加工適性
 加熱調理してもマルトースが増加しないためブリックスが低く甘味が少ない。調理品(コロッケ)は、食感・食味ともに良好である。蒸しいもの食味が劣るので、青果用には不向きである。でん粉歩留は「コガネセンガン」 より 5.5 ポイント、「サツマヒカリ」 より 2.8ポイント低い。

注: 

 さつまいもの用途拡大のためには、幅広い料理に利用できる品種が必要であるが、昭和61年に育成した、サツマヒカリ(β-アミラーゼ活性を欠く低糖の加工用品種)は、でん粉歩留が一般の青果用品種並みであったため、乾燥フレークやグラニュールなどの一次加工製品への利用が主であり、広く普及するに至らなかった。このため、低糖かつ低でん粉で蒸しいもの特性がジャガイモに近く、形状や揃いなどの加工適性が優れた品種が望まれていた。

(6)栽培上の注意
 サツマイモネコブセンチュウ抵抗性が「中」であるため、同虫害の多発地帯では防除に努める。