第1回国際焼き芋交流フォーラムの概況について(報告)       

− ニュースレター81号より抜粋 −


 先月の26日(土)〜28日(月)にかけて、当研究会の主催により第1回国際焼き芋交流フォーラムを開催しました。初めての試みでもあり、海外との連絡調整をはじめ、手探りの状態で準備を進めてきましたが、結果的には延べで約300人の参加を得ることができ、焼き芋文化を世界に広げ、4年ごとにフォーラムを開催しようという趣旨のフォーラム宣言を行って無事に終了することができました。以下、その概況を報告します。

 

1.市民公開講座

  26日(土)の午後、女子栄養大学坂戸キャンパス12号館の5階会議室に地元、坂戸市民の方々をはじめ約180人が参加して開催しました。冒頭、ベーリ・ドゥエル実行委員長の開会宣言に続き、地元を代表して川越市の川合善明市長、そして女子栄養大学の香川芳子学長からご挨拶をいただき、以降、座長を務めていただいた神戸女子短期大学名誉教授の片寄眞木子氏の進行により「おいもと健康」というテーマで、二人の講師から講演をいただきました。

  1人目は理化学研究所イノベーション推進センター辨野特別研究室の辨野義己氏(特別招聘研究員)で、演題は「健康のヒケツは腸内環境コントロールにあり!」。食生活をコントロールすることにより、『腸年齢』を若く保つことが健康の秘訣であることを、ご自身の体験も交えて非常に判りやすく解説いただききました。

  2人めは元東京家政学院短期大学教授の津久井亜紀夫氏で、演題は「サツマイモ成分に秘められた健康パワー」。糖分、食物繊維、ビタミンC、アントシアニン色素、クロロゲン酸、ヤラピン類など、様々な成分に秘められた健康パワーを、長年にわたる研究生活の中で蓄積された貴重な研究成果に基づいて判りやすく説明いただきました。

  さらに、お二人の講演の間には、女子栄養大学実践運動方法学研究室の金子嘉徳教授から、サツマイモをテーマに健康づくりのために創作した芋美(カンビ)体操を実演・ 披露いただくなど、半日という限られた時間の中で内容の濃い市民講座となりました。

  夕刻には5号館の文化表現ホールに約70名が集まり、サツマイモ料理を楽しみながら、海外(台湾、米国、インドネシア、中国)、そして国内各産地からの参加者等の間で楽しく情報交流を行いました。特に、全員で取り組んだ芋美(カンビ)体操では、その効果を体感できた方が多かったのではないでしょうか。

 

2.研究交流フォーラム

  2日目には約140名の参加を得て、12号館の3階会議室で研究交流フォーラムを行いました。午前中のテーマは、「海外の焼き芋事情、サツマイモ事情」。農業生産法人(株)VEGETA穂顧問の山川理氏が座長を務め、冷凍焼き芋などの新製品を開発して急速に業績を伸ばしている台湾の瓜瓜園企業有限会社の陳金柱代表取締役、そして米国カルフォルニアを中心に日本食材を中心としたスーパーを展開している Nijiya Market の辻野三郎丸社長から、パワーポイントを使ってお話しを伺いました。

  特に驚いたのは瓜瓜園で取扱っているサツマイモが2万トン強で台湾全体の生産量の約1割を占めること、冷凍焼き芋の開発により新たなニーズを創出することに成功していることなどです。また、辻野三郎丸社長からは、この日の講演のためにノースカロライナ州まで取材に足を伸ばして貴重な画像を提供いただきました。米国のサツマイモ栽培のスケールは非常に大きいのですが、一方で山川座長からコメントがあったように、収穫作業は人手に頼らざるを得ないことから、他の作物のようには規模拡大ができないようです。辻野社長からは米国におけるサツマイモの生産が急増していること、日本タイプのサツマイモの需要拡大には新しい発想が必要であるが可能性は大きいことなどが提起されました。

  午後のテーマは「国内産地の取り組みと今後の展開」、そして「焼きいもビジネスの現状と展望」。座長は日本いも類研究会の井上浩会長です。産地の取り組みについては、近年、スーパー店頭での焼き芋販売によりニーズを開拓して、焼き芋販売のスタイルを大きく変えてきたJAなめがた(茨城県)の金田富夫氏(営農経済センター麻生事業所長)と、密芋と呼ばれ、近年、大流行している安納芋の焼き芋に取り組んでいる種子島の有限会社西田農産の西田春樹代表取締役からパワーポイントを使ってビジュアルな説明を受けました。

  また、焼きいもビジネスの現状と展望については、関西の焼き芋屋さんを代表して、大阪府中央卸売市場の流通センターで14年間、焼き芋に取り組んでいる有限会社なるとやの西山隆央代表取締役と、沖縄で焼きいもビジネスに取り組み、台湾やインドネシアなど、世界的なスケールで活動している株式会社たるたる亭沖縄の森園弘取締役会長から、動画を放映してお話しを伺いました。

 

3.展示・試食・MiNi説明会

  フォーラムの開催期間中、2つの教室を使ってサツマイモ品種サンプルや各産地のブランド品、焼き芋関連商品などを展示し、2日めの昼休みには、特別に用意した芋だくさんの「いもバランス弁当」を摂りながら試食・MiNi説明会を行いました。

展示品については79号のニュースレターをはじめ、研究会の会員に呼びかけるとともに、実行委員会のメンバーを通じて各方面にお願いしたところ、原則、無償という条件にもかかわらず、多くの方々から快く提供いただくことができました。この場をお借りして御礼を申し上げます。スケジュールの関係で、短い時間ではありましたが会場は大いに盛り上がり、熱心な意見交換が行われていました。以下は展示品等のリストです。

 

種  類

展   示   品

企業・団体名

焼き芋

沖縄の冷めてもうまい焼いも
台湾産黄金蜜芋
種子島の安納芋・焼き芋
やわらかおいも(含気加熱商品)

(株)たるたる亭沖縄
瓜瓜園企業有限公司
(有)西田農産
全農千葉県本部

干し芋

べっ甲ほし芋
ほしいも泉ちゃん
ほしいも学校
「甘芋ん」(あまいもん)

(株)幸田商店
    〃
    〃
JA成田市

菓子ほか

川越藏プリンほか
大学芋、スイートポテト
芋せんべい、芋ビールetc

株式会社スギヤマ
川小商店
川越サツマイモ商品振興会

さつまいも(生いも)

大栄愛娘、ベニコマチ
さわらっこ
べにはるか
紅こがね、べにまさり、紅優甘、紅赤、
パープルスィートロード
ハヤトイモ、コガネセンガン、クリコガネ
新品種 シルクスイート
里むすめ
松茂美人
育成品種サンプル
紅赤、ひめあやか
アヤコマチ、九州137号
七福(アメリカいも)
尼いも

JAかとり
JA佐原
JA多古町
JAなめがた
    〃
さつまいもの館
カネコ種苗株式会社
JA里浦
JA松茂
作物研究所及び九州沖縄研
埼玉県農林総研園芸研究所
株式会社VEGETA穂
新島ふれあい農園
尼いもクラブ(片寄氏)

じゃがいも

ポテトチップ・新製品
育成品種サンプル
チューニョなど

(有)菊水堂
北海道農業研究センター
日本ボリビア協会(杉浦氏)

書籍

サツマイモ事典、品種パンフレット
「尼いもクッキング」、「尼いもの本」

(財)いも類振興会
尼いもクラブ(片寄氏)

 

4.焼き芋即売

  フォーラムの開催期間中、12号館前の校庭でJAなめがた(茨城県)のご協力により、焼き芋に向く5品種を揃えて焼き芋即売を行いました。用意したのは「紅こがね」(ベニアズマ)、「紅まさり」(ベニマサリ)、「紅優甘」(べにはるか)、「べにこまち」、「ひめあやか」。26日の午後一番、販売開始とともに長い行列ができ、持ち込んだ芋が無くなるほどの盛況でした。

  担当された棚谷氏によれば、人それぞれの好み(とにかく甘い・ほどよい甘さ・しっとり・なめらか・ねっとり・ほくほく)の違い、特に年代別の好みの違いが実感できたそうです。多くの品種を用意したことにより、最初、自分好みの焼き芋を購入された方も次々と別品種にトライして品種による食味の違いなど、焼き芋の魅力と深さを楽しんでいただくことができました。

 

 

5.川越サツマイモ文化見学会

  3日目の28日(月)には、山田代表幹事による川越サツマイモ文化現地見学会を行い、約30名の参加者が市内の予定コース(舟運亭むかし資料館、戸田製麺、喜多院、紋蔵庵、くらづくり本舗、隆清堂、蔵造り街並み・時の鐘・菓子屋横丁)を巡りました。散策に際しては、川越サツマイモ商品振興会の戸田周一会長ならびにいも膳の神山正久社長に協力いただいたほか、時の鐘隣りにあるいも菓子店「右門」では、町田社長から自慢のいも恋まんじゅうと共に歓迎を受けました。

  いも膳での交流昼食会のメニューは和食膳ならびにベニアカいも天ぷら・高級塩蒸し焼き芋。特に台湾の瓜瓜園一行は、塩蒸し焼き芋に感激されたようです。最後は、ドゥエル実行委員長が13拍子の『イモ締め』を行い、和やかな笑いのうちに行程を終えました。

 

6.最後に

  フォーラムに際して次回の企画・運営の参考とするため、アンケート票を提出いただいたのですが、フォーラムの構成等については、ほとんどの方から「十分に満足できるものであった」との評価をいただくことができました。ただ、展示内容については、時間的余裕をもって産地に相談して貰えれば、より内容の濃い展示ができたと思うとの意見もあり、次回に向けての反省材料と考えます。なお、抄録集や講演資料については、執筆者等の了解を得て JRTWeb に掲載することを予定しています。

 

 

 

 

 

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