4月29日から5月5日にかけては、いも膳も資料館もごった返すほど混んだ。その間の来館者で1番印象的だったのは、5月3日に鎌倉から来た中年の婦人、数人のグループだった。
鎌倉といえば全国有数の文化財都市ではないか。川越がいくら17万石の城下町であり、蔵造りの町並の続く重厚な町だと威張ってみても格が違う。
その鎌倉からこの混む時に、なんでわざわざ川越くんだりまで来るのだろう、ちょっと理解できなかったのでわけを尋ねてみると、こういうことだった。
「史跡とか文化財とかなら鎌倉のほうが多いわ。でも鎌倉には、鎌倉だけの食べ物がないの。海のものも、山のものも、なんでもあるけど、『これが鎌倉だ』というのがないの。そこへいくと川越はいいわ、おイモがあるんだもの。
私たちはそのおイモを急に食べたくなって、『イモ膳』へ来ちゃったの。そうしたら、ここにはおイモの博物館まであるじゃあない。おイモのお勉強までできちゃって今日は最高、またくるわ」