『日本農業新聞』の連載ものの一つに「わが町わが村これが売り物」がある。平成5年1月25日号のそこに、当館も「加工品ズラリ、サツマイモ資料館」という見出しで大きく載った。以来それを見てきたという人が多くなったが、今日来られた熊本県食品加エ研究所の堀端豊美先生もその一人。数あるサツマイモの中で、先生が今1番注目されているのは肉がオレンジ色のカロチンイモとのことで、こんな話をして下さった。
「関東ではカロチンイモはまだ出回っていないようですが、熊本県にはありますよ。
たとえば天草地方では、肉が黄色のふつうのイモは『カライモ』。オレンジ色のものは『アメリカイモ』と言って、区別して使っています。天草ではサツマイモを薄く切って蒸して干したものを『蒸しコッパ』と言います。それと餅米とで作る『コッパ餅』には、カライモよりアメリカイモの方がいいと言っています。
今、日本ではサツマイモが見直され、注目されていますが、それは食物繊維が多いからです。それを楽しく、おいしく、たくさん摂れる所が1番の魅カです。
次はカロチン。とくにβカロチンはガンに対する抵抗性が強いと言われています。βカロチンは肉が黄色のイモにもありますが、オレンジ色のイモにはそれよりはるかにたくさんあります。ですからわたしはカロチンイモの活用方法を研究テーマにしています。サツマイモとは関係ありませんが、すでに市場にはβカロチン入りの飲料『ベジータ・べー夕』などが出回っていますよね。
熊本県のイモ菓子ですか? あまりないですねえ。『いきなりだんご』ぐらいじゃあないですか。あれなら、たいていの餅菓子屋さんにありますよ」