当館の入館者の多くは女性だが、時に男性だけのグループが来ることもある。
彼等は大声で思ったまま、感じたままのことを言うから面白い。今日も数人の40代の男だけのグループが、展示中の生イモ、20数種類を前に、こんな言い争いを始めた。

「これ本物?」
「バカ、博物館に本物があるかい。レプリカに決まってらあ」
「でもどのイモにも芽が出てるじゃあないか、本物だよ」
「おれはだまされねえ、でもうまく似せてるなあ」

女性でこんな疑いを持つ人は一人もいない。
「なんておいしそうなんでしょう」とか、「あら、こんなに種類があったの?ちっとも知らなかったわ」などと、そのまま素直に受け入れる。
ところが男だと珍らしいものや良すぎるものは、模造品に見えてしまうらしい。そこでこっちはこう言う。
「どうぞ手に取って見て下さい。二つに折ったてかまいませんよ、代りのイモはいくらでもありますから」