東京から来たという70代の女性がこんな話をしてくれた。

「わたしたちの育ち盛りは戦争でした。お米の代わりにサツマイモとカボチャをいやというほど食べさせられました。それでこの世代の者はこの2つだけはもう絶対に食べまいと決めたはずです。むろんわたしもそうです。
ところがいつの間にかそれが崩れていたんですね。わたしは40年前にフランスに渡り、去年帰国しました。日本に帰って一番驚いたのは、日本人のだれもがサツマイモ好きになっていたことでした。スーパーの野菜売り場にはおいしそうなおいもが年中あります。デバートで人が行列してまで買っているものの多くは、おいものお菓子です。 『え、なんで?』 と思いました。
同じ世代の友達にわけを聞いてみました。でもまじめに答えてくれません 『そんなことどうでもいいじゃあない。今のおいもはとってもおいしいのよ』 で終りです。それで今日はここへ来てみたというわけです」

戦後、サツマイモの時代は終ったと思われた時期があった。それが20年ほど前から、健康食の一つとして見直されるようになった。わたしはそのいきさつを話してあげた。