美深白

系統番号:3402-3



(1)来歴

 昭和9年(1934)に北海道農事試験場本場において「男爵薯」を母、「Deodara」を父として交配を行って育成されたもので、昭和12年(1937)より美深試作場において本場から種いも2個を譲り受けて増殖、昭和13年(1938)から試験を続行し、昭和16年に道内各地で地方適否を調査した結果、昭和17年(1942)に優良品種として採用された品種です。昭和12年(1937)より美深試作場において選抜した結果、昭和17年(1942)に優良品種に決定したものです。昭和34年(1959)に優良品種から廃止されました。

(2)特性

 中晩生で食味は良く、澱粉価が高く耐病性にとみ、澱粉原料用に適していました。


“馬鈴薯新優良品種「美深白」及「美深紅」の特性”.北海道農業試験場時報.169,1-7.から抜粋
 一、一般性状 茎葉枯凋期は地方によつて不同であるが、「蝦夷錦」より晩く、「紅丸」より稍早い中熟種の晩に属する品種である。草丈は「蝦夷錦」より稍短いが茎は太く、茎及葉は緑色で、花は淡赤紫色である。
 二、薯塊 中粒で「蝦夷錦」や「紅丸」に比べると稍小さいが楕円形である。表皮は黄白色を呈して滑で目は稍少なく且稍浅い。則ち外観は美しい。又肉色は白く、食味は良好である。
 三、耐病性 疫病に対しては「紅丸」と略同様で「蝦夷錦」より遙かに強く、萎縮病には殆ど罹らず、湿腐病にも極めて強い。
 四、収量及澱粉含有率 薯塊の収量は「紅丸」に比べると概ね劣るが、「蝦夷錦」に比べれば遙かに増収を示し、澱粉含有率は現在栽培せられてゐる品種中で最も高く、澱粉収量は「蝦夷錦」よりも著しく多い。但し澱粉含有率は十勝支場及倶知安試作場に於て「美深紅」に稍劣る。

  「美深白」は食用兼澱粉用として「蝦夷錦」に代り、… 釧路、根室及北見地方を除く各地で栽培するのに適してゐるが、栽培に当つては左の事項に特に注意を要する。
 「美深白」栽培距離は「蝦夷錦」及「紅丸」より稍狭く、畦幅二尺五寸、株間一尺二寸内外とするのが適当である。尚本品種は肥料を増加すれば著しく増収する。
 …目が少ないから種薯は二つ以上に細断せぬやうにし、又疫病に対して強いからと言つても薬剤撒布を怠つてはならぬ。



文献及び関連Web

北海道農業試験場.“馬鈴薯新優良品種「美深白」及「美深紅」の特性”.北海道農業試験場時報.169,1-7.
佐藤亮、藤原秀雄.“馬鈴薯新優良品種「美深白」及び「美深紅」の特性”.北農.10(3): (1943)





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