チヂワ

登録番号:ばれいしょ農林14号
地方番号:西海7号
系統名 :長系43号


(塊茎画像:田中智)

(1)来歴

 昭和31年(1956)長崎県農業試験場愛野試験地において、「S54042-15」を母、「ウンゼン」を父として人工交配を行い、翌年に実生を養成し、その後選抜を重ねたものです。昭和37年(1962)に「ばれいしょ農林14号」として登録され、「チヂワ」と命名されました。
 食味はこれまで暖地で育成された品種の中で最も良いとされていますが、いもが腐りやすく葉巻病にも弱いなど病害に弱く栽培しにくいことなどから、昭和41年(1966)に春秋作合わせて600ha作付された後は減少し、「デジマ」の育成により栽培されなくなりました。
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(2)形態的特性

 秋作における草勢は旺盛で、茎長も「農林1号」より長く、茎は太い。葉の大きさは中〜大で疎に着きます。花は白色で、春に多く秋には少ない。
 いもの形は扁球形で皮色は淡黄色です。目の深さは中位で、外観は良好です。肉色は黄色です。

(3)生態的特性

 休眠が短く萌芽が早く萌芽ぞろいもよい。熟期は「農林1号」よりやや晩生です。
 いも収量は春作は「農林1号」にやや劣りますが、秋作では1割前後多収となります。澱粉価は「農林1号」とほぼ同程度(15%)で暖地ばれいしょとしては高い。

(4)病害虫抵抗性

 疫病には「農林1号」より強い。葉巻病に弱い。粉状そうか病にはやや弱い。いもが腐りやすく、軟腐病、ネグサレセンチュウに弱く栽培しにくい。

(5)品質特性

 蒸しいもは粉質で、食味は暖地育成品種では最も良いとされています。丸焼きや煮物に適しており、「農林1号」や「シマバラ」より優れています。

(6)適地及び栽培上の注意

 暖地の二期作地帯に食用種として広く適します。特に秋作によい。
・栽植密度をいくぶん広くする方が増収します。また、薬剤散布は従来どおり行う。

育成従事者

宮本健太郎、池田定男、中村盛三、室園正敏、佐田満、高岸欽七



文献及び関連Web

農林水産技術会議事務局.チヂワ”.農作物品種解説 畑作物の新品種(昭和30〜38年度) (1963) (農林水産研究成果ライブラリー)

チヂワ (農林水産省農林水産技術会議事務局 命名登録品種データベース



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