シレトコ

登録番号 農林認定 ばれいしょ農林16号 1966. 5
種苗法 
北海道優良品種 ばれいしょ北海道第9号 1971.6.17登録
1981.4.16廃止
地方番号 根育3号
系統名 根系9号  
系統番号 58098-530 (根釧農試選抜)  
組合せ 北海24号×島系291号 (1958 北海道農試交配) 系譜図

花 (北見農試) 草姿 塊茎 (田中智)
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(1)来歴

 昭和33年(1958)に北海道農試において、「北海24号」を母、「島系291号」を父として人工交配を行い、翌年に北海道立農業試験場根室支場(品種登録時には北海道立根釧農試に改称)が交配種子の分譲を受けて実生を養成し、以降選抜を加えてきたものです。昭和39年(1964)に「根系9号」の系統名、昭和41年(1966)には「根育3号」の地方番号を付与して澱粉原料用としての地域適応性等を検討した結果、昭和42年(1967)に「ばれいしょ農林16号」として登録され、育成地に近い「知床」の地名にちなんで「シレトコ」と命名されました。
 種いもの増殖の際にXモザイク病に汚染されていたことなどでつまずき、作付は伸びず、昭和48年(1973)に116ha作付されたのを最高に以降は減少に転じ、昭和56年(1981)に優良品種から廃止されました。
系譜図

(2)形態的特性

 そう性は直立型で、茎長は「農林1号」よりやや長く、茎は太く丈夫です。小葉はやや大きく、色はやや薄い緑色で、分枝が少ないため複葉数はあまり多くありません。花色は白で、開花数は多いですが、花粉は少なく自然結果はあまりみられません。
 いも着はやや疎ですが、ふく枝は「エニワ」ほど長くなく、いもの着生位置も普通で特に深くはないので掘り取りはあまり苦にはなりません。いもは卵形ないし扁卵形で皮色は淡黄白色です。目の深さはやや浅〜中位で、外観はやや良好です。肉色は白い。中心空洞はほとんどなく、二次生長もあまりみられません。

(3)生態的特性

 枯凋期は「農林1号」に比べ、道央では5日前後、根釧、天北では1〜2週間遅く、極晩生種に属します。
 いも収量はきわめて多く、多肥栽培ややや密植において増収が期待され、遅植え適応性も比較的広いものと思われます。中・大粒が多く粒ぞろいが良い。澱粉価は「農林1号」より1〜2ポイント高く、根釧、天北では「エニワ」程度です。澱粉収量は「農林1号」、「エニワ」より多く、「ホッカイアカ」と同程度です。

(4)病害虫抵抗性

 疫病抵抗性遺伝子R1R2を持っています。Xモザイク病や青枯病には弱い方で、軟腐病には中位かやや強い方に属します。ジャガイモシストセンチュウには感受性で、ネグサレセンチュウには弱い方です。

(5)品質特性

 澱粉粒子の大きさは「農林1号」よりやや大きく、ほぼ「ホッカイアカ」程度です。
 食味は比較的良好です。

(6)適地及び栽培上の注意

 地域適応性はかなり広いものと考えられるが、特に道東、道北(根釧、斜網、天北)および後志地帯に好適するとされていました。
・栽植密度は比較的密にしても倒伏が少なく増収がみられます。普通の栽植密度では多肥条件において増収効果が高い。
・疫病に対しては抵抗性遺伝子R1R2を有していますが、これを侵すレースが発生しているので防除は普通品種に準じて行うことが望ましい。
・採種の場合はウイルス株の淘汰に特に留意する。

育成従事者

金子一郎、浅間和夫、上野賢司、村上紀夫
永田利男(交配)



文献及び関連Web

金子一郎、浅間和夫、上野賢司、村上紀夫.“馬鈴薯新品種「シレトコ」について”.北農.34(7):1-24 (1967)

金子一郎、浅間和夫、上野賢司、村上紀夫.“昭和42年大豆・ばれいしょ新品種解説(ばれいしょ・シレトコ)”.農業技術.22:285 (1967)

馬鈴薯「根育3号」に関する試験成績(新品種名「シレトコ」) (成績概要書(1967))


「シレトコ」の母、「北海24号」に関する文献
寒地作物遺伝資源情報 第4号(ばれいしょ:北海24号)   (北海道農業試験場研究資料33号(1987))




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