コナユキ

登録番号 農林認定 ばれいしょ農林62号 2011. 3.28
種苗法  第21865号 2012. 7.26
北海道優良品種 ばれいしょ北海道第51号 2010. 2
地方番号 北育13号    (2006) 
系統名 北系28号    (2005) 
系統番号 K98018-1    
組合せ 紅丸×根育39号 (1998 北見農試) 系譜図

 (北見農試 2007) 草姿 (北見農試 2007) 塊茎 (北見農試 2007産)
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用途 澱粉原料用
長所
  • 澱粉品質が「紅丸」並に優れる。
  • ジャガイモシストセンチュウ抵抗性を持つ。
短所
  • 小粒塊茎が多いので、収穫時の掘り残しが多い。
  • 休眠期間が短い。
  • 塊茎腐敗抵抗性が弱い。

(1)来歴

 高品質澱粉で収量性が高くジャガイモシストセンチュウ抵抗性を持つ澱粉原料用品種の育成を目標として、澱粉品質の優れる澱粉原料用品種「紅丸」を母、ジャガイモシストセンチュウ抵抗性を持つ高澱粉価系統「根育39号」を父として、平成10年(1998)に北海道立北見農業試験場にて人工交配を行い、平成12年(2000)に播種した実生集団より選抜された系統である。
 平成13年(2001)年の第二次個体選抜試験において澱粉品質の予備選抜を行った後、「K98018-1」の系統番号を与え、系統選抜試験、生産力検定試験、生産力検定試験において澱粉品質と収量による選抜を進め、平成17年(2005)から「北系28号」の系統名で生産力検定試験、道内関係機関の系統適応性検定試験、地域適応性検定試験並びに特性試験に供試した。澱粉品質が優れ、ジャガイモシストセンチュウ抵抗性を持ち、澱粉価が高く多収であったことから、平成18年(2006)に「北育13号」の地方番号を付与して奨励品種決定調査に供試し、平成19年からは同現地調査に供試し、澱粉原料用品種としての実用性を検討した。その結果、平成22年(2010)に北海道の優良品種に採用され、農林水産省よりばれいしょ農林62号「コナユキ」として農林認定された。
 北海道における作付面積は平成24年(2012)に29haで、平成26年(2014)には300haを超えたとみられる。

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(2)形態的特性

 草性は「コナフブキ」及び「紅丸」と同様の“やや直立”、草高は「コナフブキ」、「紅丸」並の“中”である。茎の太さは「コナフブキ」、「紅丸」並の“中”、茎の分枝数は「コナフブキ」、「紅丸」並の“多”である。小葉の重なりは「コナフブキ」の“開く”に対して「紅丸」と同様の“中間”、葉の緑色度は「コナフブキ」、「紅丸」並の“濃”、複葉の大きさは「コナフブキ」より大きく「紅丸」並の“中”、小葉表面の光沢は「コナフブキ」の“鈍い”に対して「紅丸」と同様の“中”である。花の数は「コナフブキ」、「紅丸」より少ない“中”、花の大きさは「コナフブキ」、「紅丸」並の“中”、花色は白く、花冠内面のアントシアニン着色の程度は「コナフブキ」の“弱”に対して「紅丸」と同様“無”である。葯の色は「紅丸」の“黄”に対して「コナフブキ」と同様“黄橙”です。花粉の多少は「コナフブキ」、「紅丸」より少ない“無”、結果数は「コナフブキ」より少なく「紅丸」並の“無”である。
 ふく枝の長さは「コナフブキ」、「紅丸」より短い“短”、塊茎着生の深浅は「コナフブキ」より浅く「紅丸」並の“浅”である。塊茎の形は「紅丸」の“卵形”に対して「コナフブキ」と同様の“球形”で、目の数は「コナフブキ」、「紅丸」並の“中”、目の深さは「コナフブキ」、「紅丸」より深い“深”、目の基部色は「コナフブキ」、「紅丸」の“赤”に対して“紫”である。表皮の色は「コナフブキ」が“黄”、「紅丸」が“赤”に対して“紫”、表皮のネットは「コナフブキ」、「紅丸」より多い“中”である。塊茎の肉色は「コナフブキ」、「紅丸」の“白”に対して“紫斑”である。

(3)生態的特性

 休眠期間は「コナフブキ」、「紅丸」より短い“やや短”である。枯凋期は「紅丸」より早く「コナフブキ」並の“中晩”に属する。初期生育は「コナフブキ」より早く「紅丸」並の“やや速”、早期肥大性は「コナフブキ」より早く「紅丸」並の“やや速”である。
 上いも数は「コナフブキ」、「紅丸」よりも多い“多”、上いもの平均重は「コナフブキ」、「紅丸」より軽い“軽”である。上いも重は「紅丸」より少なく「コナフブキ」よりやや多いが、「コナフブキ」と同じ“中”に属し、上いもの揃いは「コナフブキ」の“中”、「紅丸」の“やや整”に対して“やや否”である。澱粉価は「紅丸」より高く「コナフブキ」よりやや低いが、「コナフブキ」と同じ“高”に属し、澱粉重は「紅丸」、「コナフブキ」並の“多”である。 

(4)病害虫抵抗性

 ジャガイモシストセンチュウ抵抗性は、「コナフブキ」、「紅丸」の“弱”に対し“強”で、抵抗性遺伝子H1を有する。疫病圃場抵抗性は「コナフブキ」、「紅丸」並の“弱”、塊茎腐敗抵抗性は「コナフブキ」、「紅丸」より弱い“弱”、そうか病抵抗性は「コナフブキ」、「紅丸」と同様“弱”である。Yモザイク病抵抗性は「コナフブキ」の“強”に対して「紅丸」と同様“弱”である。
 褐色心腐は「紅丸」より少なく「コナフブキ」並の“微”、中心空洞は「コナフブキ」、「紅丸」より少ない“無”、二次生長は「コナフブキ」、「紅丸」より少ない“微”である。打撲黒変耐性は「コナフブキ」並の“やや弱”である。

(5)品質特性

 澱粉のリン含量は「コナフブキ」より低く「紅丸」並の“やや低”、離水率は「コナフブキ」より低く「紅丸」並の“低”、白度は「紅丸」より高く「コナフブキ」並の“高”、澱粉粒子の大きさは「紅丸」よりやや小さく「コナフブキ」並の“中”、糊化開始温度は「コナフブキ」より低く「紅丸」並の“中”、最高粘度は「コナフブキ」よりやや低く「紅丸」並の“やや高”、最高粘度時の温度は「コナフブキ」よりやや高い“中”、灰分含量は「コナフブキ」より低く「紅丸」並の“やや低”である。

(6)適地及び栽培上の注意

 適地:寒地・寒冷地
 普及見込み地帯及び面積:北海道一円 

 栽培上の注意
1)「コナフブキ」より収穫時の掘り残しが多く、野良生えの発生が増える懸念があるので、秋起こしを控えるのが望ましい。
2)生育前半の降水量が多い地域や、湿害を受けやすい圃場での栽培を避ける。
3)休眠期間が“やや短”なので、収穫後の種いもの保管に留意する。
4)塊茎腐敗抵抗性が“弱”なので、疫病防除を適切に行う。

育成従事者

 江部成彦、伊藤武、入谷正樹、田中静行、千田圭一、大波正寿、池谷聡、藤田涼平、古川勝弘



文献及び関連Web

竹内徹,長尾明宣,南橋昭,白井滋久 編.“農作物優良品種の解説 (2005~2013)”.北海道立農業試験場資料 第41号(2014).北海道立総合研究機構農業研究本部

平成22年度農林認定品種一覧 ばれいしょ農林62号「コナユキ」 (農林水産省農林水産技術会議

ばれいしょ新品種候補「北育13号」 (道総研農業技術情報広場 研究成果情報)

道立農試の育成品種(ばれいしょ) 道総研農業技術情報広場 農業試験場の知的財産一覧)

コナユキ (種苗管理センター ばれいしょ新品種の紹介)



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