すいおう(翠王)


(1)来歴
 「すいおう」は、茎葉飼料用の「ツルセンガン」の突然変異個体から育成した系統であり、茎葉利用品種として平成13年に種苗登録された。

(2)形態的特性
 地上部はやや立型で草勢は強い。茎色は無、節色は無で、茎はやや太い。葉は波・歯状心臓形でやや大きく、頂葉色は淡緑、葉色は緑である。
 しょ梗の長さは「中」、強さは「中」、いもの形状は「紡錘形」、大きさは「やや大」、外観は「中」である。いもの皮色は「黄白」、肉色は「淡黄白」である。 

(3)生態的特性
 萌芽の遅速は「早」、萌芽揃いの整否は「整」、萌芽の多少は「多」、萌芽性は「極良」である。苗床栽培での10a当たりの地上部収量は25トン弱で、同じ茎葉利用品種である「エレガントサマー」に比べ2割程度多収である。

(4)病害虫抵抗性
 病虫害抵抗性は、サツマイモネコブセンチュウ抵抗性は「強」、ミナミネグサレセンチュウ抵抗性は「やや強」である。

(5)品質特性及び加工適性
 地上部については、葉と葉柄の食味が良く、また、可食部100g当たりの鉄、カルシウム、カロテン、食物繊維、総ポリフェノールの含有量が、「しゅんぎく」、「ほうれんそう」、「ブロッコリー」、「キャベツ」、「レタス」などより多く含まれている。
 一方、蒸しいもの肉色は「淡黄白」、肉質は「やや粉」、蒸しいもの繊維は「やや少」、食味は「中」で「高系14号」に劣り、茎葉利用品種「エレガントサマー」よりやや優れる。

(6)栽培上の注意
 ビニールハウスなどでの施設栽培を行なう場合は、通年伏せ込み、収穫が可能である。露地栽培を行なう場合には、栽培法は青果用品種に準ずる。また、植付け適期は4月下旬から6月中旬であり、茎葉部の収穫は5月下旬から10月中旬まで可能である。