ひめあやか


(1)来歴及び特徴
 「ひめあやか」は、いもがやや小さく食味が優れる「九州127号」を母、つる割病と立枯病に強く食味が優れる「関系91」を父とする交配組合せにより育成された。名前の由来は、いもが小さく、焼きいもや蒸しいもの肉色の彩りが鮮やかであることによる。
 家庭で利用しやすいサイズで、美味しいサツマイモとして、青果販売や、高品質の焼きいも、お菓子等への利用が期待される。

(2)形態的特性
 いもの形状は「短紡錘形」で「ベニアズマ」や「高系14号」より短く、大きさは「やや小」、条溝は「微」で裂開や皮脈はなく、外観は「中」である。いもの皮色は「赤紫」で肉色は「黄」である。

(3)生態的特性
 上いも一個重はマルチ標準栽培で「ベニアズマ」「高系14号」の6割ほどの重さの140g程度と小さい。上いも重はマルチ早掘栽培で「ベニアズマ」をやや上回るが、マルチ標準栽培では「ベニアズマ」の8割程度である。一方、食べきりサイズの200g以下のいも重は多く、マルチ標準栽培では「ベニアズマ」比で約2倍である。切干歩合は「ベニアズマ」よりもやや低く、「高系14号」よりもやや高い。萌芽性は「やや良」、貯蔵性は「中」である。

(4)病害虫抵抗性
 病害虫抵抗性では、立枯病、つる割病、黒斑病に対し「やや強」で、「ベニアズマ」「高系14号」よりも病害に強い。サツマイモネコブセンチュウ抵抗性は、「やや弱〜やや強」である。

(5)品質特性及び加工適性
 蒸しいも、焼きいもの肉質はやや粘質でしっとりとしていて、食味が優れる。また、50g程度の小さないもも良食味である。「ベニアズマ」「高系14号」に比べて調理後の黒変が少なく、肉色は鮮やかな黄色である。蒸しいものブリックスは「高系14号」より高く「ベニアズマ」並である。冷えた後の食味も優れる。

(6)栽培上の注意