サニーレッド(農林51号)


(1)来歴
 赤色の皮色でいもの外観が良い「九系79」と食味の良い「ベニコマチ」の組合せにより九州農業試験場で育成されたもので、平成10年に命名登録された。品種名は、太陽の光り輝く南九州に適し、β-カロチンを豊富に含む赤い皮の品種であることを表す。

(2)形態的特性
 いもの形状は長紡錘形でわずかに条溝があるが、裂開と皮脈は無く、いもの皮色は赤紅、形は長紡錘形である。

(3)生態的特性
 萌芽性は中程度である。育成地における上いも重は「高系14号」や「ベニハヤト」を上回る。いもの肉色は橙で、カロテン含有量は既存の高カロテン品種「ベニハヤト」よりやや少ないが、高い部類に属する。収量は「高系14号」並で、「ベニハヤト」より多収であり、パウダー原料用に適する。蒸しいもの食味は、「高系14号」よりやや劣るが「ベニハヤト」より優れ、高カロテン品種としては良い。蒸しいもは黒変が少なく、鮮やかな橙色である。

(4)病害虫抵抗性
 ネコブセンチュウに強い。ミナミネグサレセンチュウに対する抵抗性は中程度で、黒斑病にはやや弱い。貯蔵性は「ベニハヤト」よりやや劣る。

(5)栽培上の注意

(6)用途
 加工食品用。パウダーから、きれいな淡いオレンジ色のパン、麺、菓子を作ることができる。食感はパン、菓子ではしっとり感が出て、口溶けも良くなり、麺は柔らかい食べ口となる。パウダーを添加した食パンは明らかに無添加のものより老化が遅く柔らかさが持続する。焼酎は甘味、果実香があり飲みやすい。