ベニマサリ(農林55号)


(1)来歴
 ベニマサリ(九州130号)は、皮色、食味に優れた「九州104号」を母、外観と食味に優れる「九系87010-21」を父とする交配組合せにより、独立行政法人農業技術研究機構九州沖縄農業研究センターで育成されたもので、平成13年に命名登録された。

(2)形態的特性
 標準栽培において、しょ梗の長さは「中」、強さは「やや強」、いもの形状は「紡錘形」、大きさは「中」、外観は「やや上」、いもの皮色は「赤」で肉色は「淡黄」である。

(3)生態的特性
 萌芽の遅速は「やや早」、萌芽揃いの整否は「中」、萌芽の多少は「やや多」、萌芽性は「やや良」である。育成地における上いも収量は「高系14号」より標準栽培で15%、早堀栽培で25%上回り、多収かつ早堀適性がある。

(4)病害虫抵抗性
 病虫害抵抗性は、サツマイモネコブセンチュウ、ミナミネグサレセンチュウに「中」、黒斑病に「やや強〜強」である。貯蔵性は、「コガネセンガン」「高系14号」より優れ「やや易」である。

(5)品質特性及び加工適性
 標準栽培において、蒸しいもの肉色は「淡黄」、肉質は「やや粘」、蒸しいもの繊維は「中」、黒変度は「やや多」である。蒸しいもの甘味が強く、食味は「上」で高系14号より優れる。

(6)栽培上の注意
 ミナミネグサレセンチュウ抵抗性が「中」、ネコブセンチュウ抵抗性が「中」であるので、同病害の多発地帯は防除に努める。
 結藷位置が深くなることがあるので、掘取りに留意する。