パープルスイートロード(農林56号)


(1)来歴
 パープルスイートロード(関東117号)は、アントシアニン色素を有する「九州119号」を母本とし、「関東85号」、「関東99号」、「関東103号」、「九州105号」、「ベニオトメ」の混合花粉による多交配により、独立行政法人農業技術研究機構作物研究所で育成されたもので、平成14年に命名登録された。

(2)形態的特性
 しょ梗の長さは「短」、強さは「強」、いもの形状は「紡錘形」、大きさは「やや大」で、いもの形状、大小ともよく揃う。外観は「上」、いもの皮色は「濃赤紫」、肉色はアントシアニン色素を含む「紫」で、カロチンは含まない。

(3)生態的特性
 萌芽の遅速は「早」、萌芽揃いの整否は「やや整」、萌芽の多少は「やや多」、萌芽性は「やや良」である。育成地における上いも収量は「ベニアズマ」の125〜175%程度で、多収である。また、アントシアニン色素を含む青果用用種「種子島紫」をはるかに凌駕する。

(4)病害虫抵抗性
 病虫害抵抗性は、つる割病対して強く、立枯病、ネコブセンチュウ及び黒斑病に対しては「中」の抵抗性である。貯蔵性は、「ベニアズマ」より貯蔵しやすい「やや易」である。

(5)品質特性及び加工適性
 蒸しいもの肉色は「紫」であるが、「種子島紫」に比べやや赤みが強い紫である。蒸しいもの肉質は「やや粉質」、繊維は「中」である。食味は「高系14号」、「種子島紫」並で、「ベニアズマ」にやや劣るが、紫系統としては良食味である。アントシアニン色素の色価は1程度で、「アヤムラサキ」よりかなり低く、「種子島紫」並かやや高い。

(6)栽培上の注意
 黒斑病抵抗性が不十分であるので、病害多発地帯では防除に努める。
 「アヤムラサキ」等の加工原料用有色素品種との混合を避ける。