ダイチノユメ(農林59号)


(1)来歴
 ダイチノユメ(九州123号)は、いもの形状・外観、センチュウ抵抗性、貯蔵性が優れる「九系117」を母、高でん粉・多収の「ハイスターチ」を父とする交配組合せにより、独立行政法人農業技術研究機構九州沖縄農業研究センターで育成されたもので、平成15年に命名登録された。

(2)形態的特性
 しょ梗の長さは「やや短」、強さは「やや弱」、結藷の位置は「やや浅」で掘取難易は「やや易」である。いもの形状は「紡錘形」、形状整否は「やや整」、大きさ、大小の揃いとも「中」である。外観は「やや上」、いもの皮色は「両端にわずかに紅を帯びた白」、肉色は「淡黄白」である。

(3)生態的特性
 萌芽の遅速は「やや早」、萌芽揃いの整否は「やや整」、萌芽の多少は「中」、萌芽性は「やや良」である。育成地における上いも収量は「コガネセンガン」や「シロユタカ」を上回る。切干歩合、でん粉歩留まりは「コガネセンガン」や「シロユタカ」より2〜3ポイント高く、「コナホマレ」と同程度である。

(4)病害虫抵抗性
 病虫害抵抗性は、サツマイモネコブセンチュウ抵抗性は「強〜やや強」、ミナミネグサレセンチュウ抵抗性は「やや強」である。黒斑病抵抗性は「弱〜やや弱」である。貯蔵性は、「やや易」で、「コガネセンガン」、「コナホマレ」より優れる。

(5)品質特性及び加工適性
 でん粉白度は「コガネセンガン」、「シロユタカ」、「コナホマレ」と同程度である。蒸しいもの食味は「やや下」と劣る。

(6)栽培上の注意
 いもの形状が長くなりやすいので(特にマルチ栽培において)、掘取の際には注意を要する。
 難腐病の発生しやすい地域や晩期収穫用として本品種を活用する。
 黒斑病抵抗性が「弱〜やや弱」であるので、同病害の多発地帯では防除に努める。