アケムラサキ(農林62号)


(1)来歴
 アケムラサキ(農林62号)は、高アントシアンで加工適性が高い「アヤムラサキ」を母、外感が優れるアントシアニン系統の「九系174号」を父とする交配組合せにより、(独)九州沖縄農業研究センターで育成されたもので、平成17年に命名登録された。名前の由来は、新しい色素用品種の時代の幕開けを意味する(暁紫)。

(2)形態的特性
 しょ梗の長さは「やや短」、強さは「弱」、いもの形状は「長紡錘形」、大きさは「中」、外観は「やや上」、いもの皮色は「濃赤紫」で肉色は「紫」である。

(3)生態的特性
 萌芽の遅速は「中」、萌芽揃いの整否は「中」、萌芽の多少は「やや少」、萌芽性は「中」である。育成地における上いも重は「コガネセンガン」より低く、「アヤムラサキ」や「ムラサキマサリ」と同程度である。

(4)病害虫抵抗性
  病虫害抵抗性は、サツマイモネコブセンチュウに「強」、ミナミネグサレセンチュウに「強」、黒斑病に「中〜弱」である。貯蔵性は、「やや易」である。

(5)品質特性及び加工適性
 アントシアン色素含量(色価)は、いずれの栽培条件でも「アヤムラサキ」や「ムラサキマサリ」より高い。蒸しいもの肉色は「濃紫」、食味は「下」で生食用には不向きであるが、お菓子等の加工用に利用できる。

注: 

 平成7年に育成された「アヤムラサキ」はアントシアニン色素の原料用として栽培されているが、いもが長くなりやすく、くびれや曲がりがあり、色素含量がばらつくなど問題があり、よりアントシアニン色素含量が多く、いもの外観が優れた加工用品種が望まれていた。

(6)栽培上の注意
 黒斑病抵抗性が「中〜弱」であるので多発地帯では防除に努める。ペースト、パウダーに加工した場合、色調が「アヤムラサキ」とは異なるので利用に当たっては注意が必要である。