スノーマーチ
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| 花 （北見農試） |
草姿 （北見農試） |
塊茎 （北見農試） |
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| 用途 |
生食用 |
| 長所 |
- そうか病抵抗性が“強”
- ジャガイモシストセンチュウ抵抗性
- 塊茎の目が浅く、肉色が白である
- 煮崩れが少なく、調理後黒変が少ない
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| 短所 |
- 「男爵薯」並の褐色心腐と中心空洞
- 亀の甲病類似症状が発生することがある
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そうか病汚染圃場産塊茎の比較 左：「スノーマーチ」 右：「男爵薯」（「スノーマーチ」はかさぶた状のそうか病斑が少ない）
(1)来歴
「スノーマーチ」は、そうか病抵抗性とジャガイモシストセンチュウ抵抗性を併せ持つ食用品種の育成を目標として、平成５年(1993)に北海道立根釧農業試験場において、アメリカ合衆国で育成されたそうか病に比較的強くジャガイモシストセンチュウ抵抗性遺伝子H1
を持つ加工用品種「アトランチック」（北海道優良品種 平成４年）を母、同じくアメリカ合衆国で育成されたそうか病抵抗性品種「Cherokee」を父として、人工交配を行い、翌年実生個体選抜試験に供試した中から選抜された品種である。
第二次個体選抜試験の後に「K93099-2」の系統名を与え、系統選抜試験、生産力予備試験、生産力試験と選抜を進め、平成10年からは馬鈴しょ科移転に伴い、北海道立北見農業試験場にて選抜を進めた。また、その間北海道農業試験場（現
独立行政法人北海道農業研究センター）および北海道立中央農業試験場にてジャガイモシストセンチュウ抵抗性の検定および選抜を行った。平成12年からは「北系７号」の系統名で生産力検定試験、道内関係機関の系統適応性検定試験、地域適応性検定試験並びに特性検定試験に供試した。その結果、「スタークイーン」以上のそうか病抵抗性を示し、ジャガイモシストセンチュウ抵抗性であることから、平成13年に「北育７号」の地方番号を付して奨励品種決定調査等（農試）に供試し、平成14年から奨励品種決定調査（現地）に供試して実用性を検討した結果、平成16年(2004)に北海道の優良品種に認定された。
オホーツク地方のJAきたみらいが生産振興に取り組んでおり、平成24年(2012)における全道の作付面積は92haで、平成26年(2014)には250haを超え、約100haは加工用としてポテトチップ原料などにも使用されている。
系譜図
(2)形態的特性
そ う性は「男爵薯」と同様“中間型”である。茎の長さは「男爵薯」よりやや長い“やや短”、茎の太さは「男爵薯」並の“中”である。茎の色は１次色は“緑”、２次色は「男爵薯」の“赤紫”に対して“無”、分枝数は「男爵薯」より多い“中”である。葉色は「男爵薯」の濃緑に対して“緑”、頂小葉の大きさは「男爵薯」より小さい“中”、小葉の大きさは「男爵薯」並の“大”である。花の数は「男爵薯」よりも少ない“やや少”、花の大きさは「男爵薯」並の“中”、花色は１次色が“白”で、２次色は“無”い。花粉の多少は「男爵薯」より多い“中”、結果数は「男爵薯」の無に対して“少”である。ふく枝の長さは「男爵薯」より長い“長”で、いも着生の深浅は「男爵薯」並の“浅”である。いもの形は「男爵薯」の“球形”に対して“倒卵形”、皮色は「男爵薯」と同様“白黄”、目の深浅は「男爵薯」より浅い“浅”に属し、肉色は“白”である。
(3)生態的特性
枯凋期は「男爵薯」より20日程度遅い“中生”に属する。初期生育、いもの早期肥大性はは「男爵薯」のより遅い“やや遅”である。上いも数は「男爵薯」並の“中”、上いも平均一個重は「男爵薯」よりも1割程度大きい“中”、上いも重・中以上のいも重は「男爵薯」よりも2割程度多い“中”、でん粉価は「男爵薯」より1ポイント程高い“やや低”である。休眠期間は「男爵薯」よりも短い“やや短”だが、休眠明けの時期は枯凋期が遅いので「男爵薯」とほぼ同じである。
褐色心腐は「男爵薯」並の“微”、中心空洞は「男爵薯」並の“少”、 二次生長は「男爵薯」並の“微”である。
(4)病害虫抵抗性
Ｙ モザイク病抵抗性および疫病圃場抵抗性は「男爵薯」と同様“弱”に属する。塊茎腐敗抵抗性は「男爵薯」の“弱”に対して“中”である。そうか病抵抗性は「男爵薯」の弱に対して“強”、「男爵薯」の病いも率(病斑のある塊茎の割合)が60〜70％のそうか病汚染圃場で､病いも率を10％以下に抑えることが可能である。粉状そうか病抵抗性は「男爵薯」の“弱”に対して“やや強”である。まれに塊茎に亀の甲病類似症状が発生することがある｡ジャガイモシストセンチュウ抵抗性遺伝子H1
を持ち、抵抗性は“強”で、汚染圃場の線虫密度を大きく減らすことが可能である。
(5)品質特性
目は｢男爵薯｣よりもかなり浅いため剥皮歩留まりが高い｡剥皮褐変は「男爵薯」の“少”に対して“無”と褐変はほとんど見られない。水煮調理後の肉質は「男爵薯」並の“やや粉”、煮崩れの程度は「男爵薯」の“中”に対して“やや少”で、調理後黒変の程度は「男爵薯」の少に対して“微”である。舌触りは「男爵薯」並の“中”である。チップ・フライの褐変程度は「男爵薯」の“中”に対して“少”で、食味は“中上”である。用途は“調理用”で全般的に｢男爵薯｣より調理加工特性が優れ汎用性がある。
(6)適地及び栽培上の注意
適地：北海道の生食用ばれいしょ栽培地帯（主としてそうか病発生地帯）
・褐色心腐および中心空洞の発生することがあるので、多肥や疎植を避け、培土に留意する。
育成従事者
入谷正樹、伊藤武、村上紀夫、松永浩、千田圭一、関口建二、大波正寿、池谷聡、藤田涼平
吉田俊幸、兼平修
文献及び関連Ｗｅｂ
池谷聡、藤田涼平、入谷正樹、伊藤武、村上紀夫、松永浩、千田圭一、関口建二、大波正寿、吉田俊幸、兼平修．バレイショ新品種「スノーマーチ」の育成．北海道立農試集報．89，13-24(2005)
天野洋一，塩澤耕二，大原益博 編．“農作物優良品種の解説 (1996-2004)”．北海道立農業試験場資料 第34号(2005)．北海道立中央農業試験場
ばれいしょ新品種候補「北育７号」 (PDF版) （農業技術情報広場）
そうか病抵抗性が“強”の生食用ばれいしょ新品種候補系統「北育7号」 （研究成果情報(2004)）
品種PROFILE スノーマーチ （カルビー株式会社 品種紹介）
