北海白

系統名:本育395号
系統名:本系10号、3001-16




(1)来歴

 昭和5年(1930)に北海道農事試験場本場において「男爵薯」を母、「Pepo」を父として交配した実生から選抜されたものです。昭和8年(1933)に「本系10号」、昭和12年(1937)年には「本育395号」の名称で試験を行い、昭和13年(1938)に北海道農事試験場本・支場長並びに試作場長協議会において優良品種に決定し、「北海白」と命名されました。
 昭和27年(1952)までには優良品種から廃止されています。

(2)特性

 中生で、いもは扁球で目が浅く形が良く、味も良い。比較的多収ですが、澱粉価はやや低いので澱粉原料用としては特に優れてはいえませんが、食用としては極めて良好です。Yモザイク病に強い。褐色心腐、塊茎腐敗等がほとんどなく、被害の多い地方にとって重要な品種とされていました。

山崎俊次.“馬鈴薯新優良品種「北海白」、「紅丸」及「明星」の特性”.北農.5(5),189-195(1938)
 中生種で茎葉枯凋期は「アメリカ大白」「蝦夷錦」と略同じであるが、薯の形良く、目少なく且つ稍浅い。然も外観美しく収量も亦著しく多い。疫病抵抗性は「ペポー」と略同じく、萎縮病に殆ど罹らず、湿腐病にも強く、褐色心腐病の発生亦極めて少ない。澱粉含有率は稍少ないから澱粉用としては特に優ると云へないが、食用としては極めて良好で特に褐色心腐病の発生多い地方及薯の腐敗の多い地方では、「ペポー」、「蝦夷錦」等に代へて栽培してよいものである。
 栽植距離は「蝦夷錦」、「ペポー」より稍狭く畦幅二尺五寸、株間一尺二寸内外とする。多収の品種であるが、肥料を増加すれば著しく増収する。又本種は目が少ないから種薯としては二十匁以上のものを供用すべきである。



文献

山崎俊次.“馬鈴薯新優良品種「北海白」、「紅丸」及「明星」の特性”.北農.5(5),189-195(1938)

佐藤導謙、村田吉平.“北海道農事試験場本場育成・「本育」番号系統の来歴”.北農.74(3),289-315(2007)




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