チトセ

登録番号 農林認定 ばれいしょ農林4号 1953.4
種苗法 
北海道優良品種 (1953-1968)
異名  衣川(岡山県)    
地方番号 北海3号  
系統名 島系241号    
系統番号 45017-36  
組合せ 男爵薯×本育393号 (1945 北海道農試) 系譜図

塊茎 (北見農試)
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(1)来歴

 昭和20年(1945)に北海道農業試験場島松馬鈴薯試験地において、「男爵薯」を母、「本育393号」を父として人工交配を行い、翌年以降選抜を重ね、農林省札幌農事改良実験所、農林省北海道農業試験場島松試験地に引き継いで選抜を行ったものです。昭和25年(1950)に「島系241号」、翌26年(1951)に「北海3号」として地方適否を試験し、昭和28年(1953)に「ばれいしょ農林4号」として登録され、「チトセ」と命名されました。一方、岡山県では原種決定試験の結果、昭和28年に「衣川」と命名し普及に移しました。
 全国では昭和34年(1959)に30ha栽培されたのを最高に、以降減少し、北海道では昭和43年(1968)に優良品種から廃止されました。
系譜図

(2)形態的特性

 そう性は開張型で、茎長は短いですが「男爵薯」よりは長く、茎数は多い。草勢も「男爵薯」より強く、茎葉の繁茂は「男爵薯」より旺盛です。茎の色は「男爵薯」よりやや濃い。葉色は淡い。葉は小さく、葉面が滑らかで軟らかい。花は淡紫色で数は極めて少ない。
 ふく枝が長く、いも着はやや疎です。いもは球形で二次生長により頂部が延びることがあります。皮色は淡黄で、目が深く目数が多いため外観はあまり良くありません。

(3)生態的特性

 萌芽が早く、初期生育は旺盛です。いもの着生も早くから始まり、肥大も速いので早掘り用品種としての利用価値が高い。枯凋期は「男爵薯」に比べ1日程度早い場合が多い極早生品種です。
 いも数が極めて多い個数型品種で、中粒が多く、大粒や屑いもはそれほど多くないので粒ぞろいは比較的良好です。いも収量は「男爵薯」より多く、特に暖地では早掘りにおいて有利です。澱粉価は「男爵薯」より約0.5ポイント高い。年による変動が比較的少なく安定した品種です。

(4)病害虫抵抗性

 疫病には弱いですが「男爵薯」よりやや被害が少なく、夏疫病には弱い。ウイルス病には「男爵薯」より強く、特に暖地で強い傾向がみられます。Xモザイク病やYモザイク病にはやや感染しにくいが、葉巻病には弱い。輪腐病には弱い。褐色心腐や中心空洞はほとんどみられませんが、二次生長は発生しやすい。生育中に著しい高温や干ばつにあうと上部の葉が巻き上がることが多い。

(5)品質特性

 食味は「男爵薯」と大差ありませんが、やや劣ることもあります。早掘りの場合はむしろ「男爵薯」より優れています。
用途は食用及び飼料用です。

(6)適地及び栽培上の注意

 比較的温暖な気候に適しており、気温への反応が鈍いため適応範囲も広いですが、著しい高温や乾燥にはあまり適していません。
 北海道内では概して「男爵薯」より優れる傾向にありますが、北見地方に栽培されていました。暖地府県においては「男爵薯」の栽培地域全般に適応しうるようですが、特に早掘りを必要とする水田裏作地帯においてよく、一部秋作にも適しますが、九州地方のような中生品種の地域には向きません。

育成従事者

永田利男、佐藤亮



文献及び関連Web
農林省農業改良局研究部.“甘藷、馬鈴薯の新品種(其の一)”.農業改良技術資料41.(1954.3)

永田利男.“馬鈴薯新優良品種「チトセ」及び「オオジロ」”.北農.21(11):367-374 (1954)

岡山県農業総合センター農業試験場.“農業試験場100年誌”.岡山県農業総合センター農業試験場臨時報告85.(2001.3)



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