アメリカンウオンダー
アメリカ大白

原品種名:American Wonder
本第3024号


American Wonder
北海道農事試験場報告.1(1903.3) より

American Wonder
北海道農業試験場彙報第62号(1943)より

(1)来歴

 原品種名を「American Wonder」といい、1896年に北アメリカにおいて「Wall's Orange」の実生より育成された品種です。
 わが国には明治の中頃にアメリカより導入され、明治39年(1906)「アメリカンウオンダー」の名で優良品種に決定し、大正4年(1915)には「アメリカ大白」と改名されました。大正時代に入って、「アーリーローズ」とともに全道にあまねく栽培され、昭和4年(1929)には北海道のばれいしょ作付面積の15%を占めていましたが、耐病性が弱く、二次生長による奇形粒の発生が多く澱粉価が低下し、食用いもとして商品価値が低下することから、「蝦夷錦」に置き替わるなどして、昭和10年(1935)の作付面積は4%に著しく減少しました。昭和34年(1959)に優良品種から廃止されました

(2)特性

 熟期は中生です。そう性は開張型で、茎長は中位、茎の節間下部は赤紫を帯びています。花色は白です。いもは長楕円〜長円筒形で皮色は黄白色、目の深さは中位で数は多い。肉色は白い。大粒で粒ぞろいが良く、澱粉価が高く食味も良好なため、澱粉原料用並びに食用として好評でした。疫病には弱い。北海道各地の栽培に適していました。

“馬鈴薯”.北海道農事試験場彙報.6(1908)によれば、“アメリカン、ウオンダー  性状其他殆ど「グリーン、マウンテン」と相似たり”

主要農作物優良品種の解説”.北海道農事試験場彙報.46(1927)
 アメリカ大白(American Wonder)(本第三〇二四号) 原名を「アメリカン・ウアンダー」と称し一八九六年米国にて「ヲオールス・オレンジ」(Wall's Orange)の実生より育成したるものなり。中熟種に属し、茎葉の姿勢開張し、花は白色なり。薯塊は長楕円形にして目部浅く、外皮滑かにして淡黄色を呈す。肉質は白色にして脆し。粒揃ひ整一にして大形なり。茎の成長旺盛にして豊産なり。薯塊の大さは大にして一個の重量七、八十匁に達するもの少からず。味良好にして食用に適すると共に澱粉製造用としても良好なり。(澱粉含量一七.二%)。開花始は六月下旬、茎葉枯凋期は八月下旬乃至九月上旬なり。




北海道農事試験場.“馬鈴薯北海道農事試験場彙報.6(1908)
北海道農事試験場.“主要農作物優良品種の解説北海道農事試験場彙報.46(1927)


Potato : American Wonder (Canada's Heritage Seed Program)






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