オオジロ

登録番号 農林認定 ばれいしょ農林5号 1954. 4
種苗法 
北海道優良品種 ばれいしょ北海道第 号
地方番号 北海9号
系統名 島系253号  
系統番号 46005-24  
組合せ 男爵薯×農林1号 (1946 北海道農業試験場) 系譜図

花 (北見農試) 草姿 塊茎 (北見農試)
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用途 食用
長所
  • いもの粒ぞろいが良く、外観も優れている。
短所
  • 黒色心腐や中心空洞を生じやすい。
  • 休眠が短いので貯蔵性が劣る。

(1)来歴

 昭和21年(1946)に北海道立農業試験場農林省指定酒精原料作物試験地において、男爵薯」を母、「農林1号」を父として交配し、翌年より実生個体選抜を開始し、以降選抜を重ね、昭和22年(1947)農林省札幌農事改良実験所、昭和25年(1950)年農林省北海道農業試験場島松試験地に引き継ぎ選抜を行ったものです。昭和27年(1952)に「島系253号」、昭和28年(1953)に「北海9号」の系統名を付し、関係府県に配布し地方的適否を試験した結果、昭和29年(1954)に「ばれいしょ農林5号」として登録され「オオジロ」と命名されました。
 食用として、昭和37年(1962)に全国で1,131ha作付されていました。北海道では昭和43年(1968)に優良品種から廃止されていますが、平成15年(2003)には岩手県、宮城県、岡山県で春・秋合わせて77ha作付されています。
系譜図

(2)形態的特性

 幼芽は赤紫で太い。そう性はやや開張ですが、草勢は中で「男爵薯」よりやや強い。茎長は短いが「男爵薯」よりは長い。茎数は比較的少なく、茎葉の繁茂は「男爵薯」に比べて旺盛です。茎翼はやや波状、茎の色は緑で、赤紫の2次色が斑紋状に分布しています。葉色は濃緑で、頂小葉及び小葉は大きく幅広い。花梗は長く、花色は濃い赤紫系で、花弁の先は白い。花粉は多く、まれに自然結果します。
 ふく枝は短く、いも着は極めて密で、掘り取りが容易です。いもは扁球形、皮色は白黄で「農林1号」に似ています。収穫時における皮色は純白に近い。表皮は「男爵薯」より滑らかで、目の数は少なく比較的浅いので、外観は「男爵薯」より良い肉色は白い

(3)生態的特性

 休眠期間は「農林1号」より短い短に属し、二期作用にも適する。萌芽は早く、初期生育はやや旺盛です。いもの着生が早く、肥大も速いので、早掘り用としても利用できます。枯凋期は「男爵薯」より2〜3日遅い早生品種です。
 いもの数は比較的少なく、大粒が多く屑いもは少なく、粒ぞろいは良好な個重型品種です。いもの収量は「男爵薯」に比べ1割程度多い。澱粉価は「男爵薯」より約1.5ポイント高い。

(4)病害虫抵抗性

 疫病には弱いですが、「男爵薯」よりはやや強い。輪腐病には比較的強く、軟腐病も比較的少ない。青枯病には弱い。Xモザイク病及びYモザイク病にも弱い。ジャガイモシストセンチュウに感受性です。二次生長はほとんどみられませんが、黒色心腐や中心空洞を生じやすい欠点があります

(5)品質特性

 肉質はやや粉質で、蒸煮後の肉色は純白に近い。食味はやや淡白ですが嫌味がなく中の上とされています。休眠が短いので貯蔵性は良くありません
 澱粉粒子が小さいので澱粉原料用には適しません

(6)適地及び栽培上の注意

 適地は比較的広いですが、特に暖地より北海道内一円及び都市近郊での早掘り青果用ならびに秋作地帯に適する。

奨励品種に指定している都道府県(△印は準奨励品種)

△宮城

育成従事者

佐藤亮、永田利男



文献及び関連Web
農林省農業改良局研究部.“甘藷、馬鈴薯の新品種(其の一)”.農業改良技術資料41.(1954.3)

永田利男.“馬鈴薯新優良品種「チトセ」及び「オオジロ」”.北農.21(11),367-374 (1954)

ばれいしょ品種の形態及びウイルスの病徴 (1) (独立行政法人種苗管理センター



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