登録番号:(農林)ばれいしょ農林21号、(北海道優良品種)ばれいしょ北海道第13号 (1976.4.17登録)
地方番号:北海48号
系統名 :島系481号
系統番号:60036-131
| 用途 | 加工食品用 (ポテトチップ) |
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| 長所 |
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| 短所 |
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昭和35年(1960)に北海道農試において、「北海19号」を母、「エニワ」を父として交配して得られた真正種子から選抜された品種です。母親の「北海19号」は「Prof. Wohltmann」×「Pepo」の交配組合せから育成された中晩生で低澱粉価の多収系統、父親の「エニワ」は中晩生で塊茎腐敗に強い澱粉原料用品種ですが、還元糖含有率が低いため一部はポテトチップ原料としても利用されていました。昭和37年(1962)に真正種子を播種し、翌年に第二次個体選抜に供試した後、「60036-131」の系統番号を付して選抜を重ね、昭和42年(1967)には中早生の兼用系統として「島系481号」の系統名、翌年には「北海48号」の地方番号を付して現地試験等に供試しました。その後、早掘り向きの澱粉原料用新品種「タルマエ」が育成されたことから用途は食用に限定されましたが、昭和48年(1973)以降の加工試験や貯蔵中の還元糖調査の結果、油加工に好適なことが判明したため、昭和51年(1976)に加工原料を主とする食用品種「ばれいしょ農林21号」として登録、豊産で油加工製品の色の良いことから「トヨシロ」と命名され、同年に北海道および福島県で奨励品種となりました。
食品加工用を主目的とするばれいしょ品種としては日本最初の品種で、ポテトチップ原料の主力品種として北海道では十勝、上川地方などを中心に7349ha(平成18年)作付されており、北海道外でもポテトチップ用として2,438ha(平成15年春秋計)作付されています。
なお、本品種を交配親に用いて、フレンチフライ加工用の「ホッカイコガネ」と澱粉原料用の「コナフブキ」が育成されています。
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幼芽の色は微赤で、萌芽時の葉色は「ワセシロ」同様紫を帯びています。茎長は「男爵薯」よりやや長く「農林1号」より短い。茎数は中位です。茎は緑色で2次色は無い。茎翼は「ワセシロ」と同様に直。分枝は少ない方で、そう性はやや開張型です。葉色は生育が進むと淡くなります。頂小葉および小葉は細く、大きさはやや小さく、小葉の着生がやや疎のため光の透過率は高い。花は白色で、大きさは中、数は中ないしやや多いですが、花粉の量は極めて少なく稔性も低く、自然結果はほとんどみられません。
ふく枝の長さは中位で、いもの着生位置はやや浅く、着生の疎密は中です。ストロンの離れも良い。いもの形は扁卵形で、扁平度は強い。個重型・個数型の別では中間型に属する。目は浅く、目数は中位。特大いもでは眉の肥大するものがあります。表皮は淡黄褐色で、やや粗く弱いネットがかかります。肉色は「男爵薯」と同様の白です。
休眠は「男爵薯」より長く、貯蔵性は良い。萌芽および初期生育は「男爵薯」、「農林1号」より遅いやや遅に属し、開花期も遅れますが株ぞろいは良い。生育後期の倒伏は少ない。枯凋期は「男爵薯」より約10日遅く「農林1号」より約20日早い中早生です。
いもの肥大および澱粉価の上昇は、「男爵薯」と「農林1号」の中間ぐらいに推移しますが、8月上旬には「男爵薯」を上回ります。いもの粒ぞろいは良好で、枯凋期後の上いも平均一個重は中早生品種としては大きい方です。上いも収量は育成地(恵庭市島松)では「農林1号」より約10%少なく「男爵薯」より約15%多く中早生品種としては多収です。澱粉価は育成地では「男爵薯」より約2ポイント高く「農林1号」並です。
疫病抵抗性主働遺伝子R1を保有していますが、この型を侵す疫病菌が広く発生しており、圃場抵抗性も弱いので「農林1号」より早く「男爵薯」に近い病勢の進展をします。疫病菌による塊茎腐敗には「男爵薯」より強く、「農林1号」並かやや弱いですが、貯蔵中の腐敗は少ない方です。乾腐病、黒あざ病には「農林1号」よりやや弱く、「男爵薯」並です。粉状そうか病には「男爵薯」および「農林1号」より強い中に属します。軟腐病抵抗性は「メークイン」程度の弱い方で、「農林1号」並かやや弱い。
PLRVによる葉巻病の発生は一般品種並で病徴は明瞭です。Yモザイク病は、PVY-Oに対してはえそ型の病徴を現します。また、PVY-Tに対しては、生育が旺盛な畑において花の咲く頃にモザイクを現し、さらに遅れて葉の裏にすじ状えそを現します。PVAには感受性で無病徴です。Sモザイク病は、PVSのモザイク系統に対して病徴を示さず潜在感染します。Xモザイク病は、PVX-bに対しては強い抵抗性を示しますが、PVX-oには感受性です。
ジャガイモシストセンチュウには感受性です。ミナミネグサレ線虫に対しても「男爵薯」のような抵抗性はありません。
褐色心腐はほとんど発生しませんが、中心空洞は300g以上の大いもに発生しやすく、特にマルチ栽培などでは発生しやすい。二次生長は「エニワ」より少ないですが、発生すると眉部が肥大します。陽光あるいは散光による緑化程度は「男爵薯」と同等です。
目が浅いので剥皮歩留りは高い。剥皮褐変は微で「男爵薯」及び「農林1号」よりはるかに少なく、「アトランチック」より少ない。水煮による品質は「男爵薯」に近く、肉質はやや粉質で、煮くずれは中位で粉をふく割には少ない。調理後黒変は無く、貯蔵後においても調理後黒変は少ない。「男爵薯」に比べ風味がやや劣ると評価されることが多いですが、目が浅く剥皮歩留りが高く、高乾物率で調理後黒変がないので、油加工用以外の各種の用途にも使うことができます。
塊茎の還元糖含有率が低く、ポテトチップ原料に適しています。還元糖含有率は貯蔵中も比較的低く推移し、「ワセシロ」よりも長期の貯蔵に耐えますが、「農林1号」に比べると長期貯蔵後の加温処理(リコンディショニング)により還元糖含量が低下しにくいので、長期貯蔵後のポテトチップ原料には主として「農林1号」が使われています。白肉で乾物率が高いためフレンチフライにも適していますが、フレンチフライ原料に適した長く大きな塊茎には中心空洞が発生しやすいという問題があります。
グリコアルカロイド含量は「男爵薯」より多く、「メークイン」よりやや少ない。曝光によるグリコアルカロイドの増加は「メークイン」より少ない。
北海道全域に適応する。早生の「ワセシロ」、「男爵薯」に比べると早期肥大性が劣るので、極早期の原料としては不適当であるが、「農林1号」の加工食品原料の大部分と替わるものである。
・栽培管理は「農林1号」に準ずる。
・やせ地、少肥、乾燥地などでは収量はあがらないことが多いが、肥沃地、多肥では多収となる反面、極大粒に奇形や中心空洞を生ずることがあるので、窒素の施用を減じたり、栽植密度を高めるなどの注意が必要である。
・浴光催芽中の芽の脱落は少ない方ではあるが、処理期間を長めて芽に傷をつけることのないようにする。
・疫病の防除は十分に行う。
・緑化の発生が多いので、培土は遅れないように充分行うようにする。また、中心空洞を少なくするため、培土の土を充分寄せて欠株や株間の不ぞろいを少なくすること。
・加工用栽培の株間は35p程度で、「男爵薯」と「ホッカイコガネ」の中間程度で良い結果が得られる。
北海道、千葉、三重、島根、△鹿児島
坂口進、梅村芳樹、奥山善直、入倉幸雄、高瀬昇、田畑健司、永田利男、岡啓
梅村芳樹.
“ばれいしょの新品種「トヨシロ」の育成”.農業技術.31(11):504-507 (1976)
ポテトチップ加工原料用ばれいしょ「トヨシロ」 (北海道農業研究センター生まれの作物たち 北海道農業研究センター育成品種一覧)