コナフブキ

登録番号 農林認定 ばれいしょ農林26号 1981. 6
種苗法  第338号 1983.2.24登録
1998.2.25満了
北海道優良品種 ばれいしょ北海道第17号 1981. 4.16
地方番号 根育19号 (1979)
系統名 根系54号   (1977)
系統番号 71014-586 根釧農業試験場選抜  
組合せ トヨシロ×WB66201-10 (1971 北海道農業試験場交配) 系譜図

花 (北見農試) 草姿 (北見農試) 塊茎 (北見農試)
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用途 澱粉原料用
長所
  • 澱粉価が高く、澱粉収量が多い。
  • 早期収穫にも適する。
  • Yモザイク病に抵抗性。
短所
  • ジャガイモシストセンチュウ感受性。
  • 澱粉の品質が「紅丸」より劣る。

(1)来歴

 昭和46年(1971)に北海道農試においてトヨシロ」を母「WB66201-10」を父として交配して得た真正種子を、翌年北海道立根釧農試が分譲をうけて実生を養成し、以後選抜を重ね育成された品種である。「WB66201-10」は狭義のジャガイモ(S.tuberosum)の外、S.phurejaS.chacoenseS.demissumに由来する高澱粉でYモザイク病抵抗性の種間雑種系統である。昭和52年(1977)に「根系54号」、昭和54年(1979)年に「根育19号」として、澱粉原料用品種としての実用性を検討した結果、昭和56年(1981)に「ばれいしょ農林26号」として登録され「コナフブキ」と命名された。品種名は、吹雪を連想させるほど澱粉収量が多いことを示す。
 作付面積は、平成8年(1996)に澱粉原料用の主力品種であった「紅丸」を超え、平成14年(2002)年には北海道の品種別作付面積トップの「男爵薯」を超えトップとなった。平成17年(2005)に16,823ha作付されたのが最大普及面積で、平成26年(2014)には13,460ha作付けされている。オホーツク、十勝地方を中心に栽培され、澱粉原料用として作付の8割以上を占める。
 本品種と「トヨアカリ」をを親に用いた交配から「サクラフブキ」が育成されている。
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(2)形態的特性

 幼芽の色は微赤。萌芽時の葉色は濃緑で、淡い紫の着色がある。茎長は「紅丸」並で、茎の太さは「紅丸」並の中ないしやや細い。茎数及び分枝は「紅丸」や「農林1号」程度である。そう性は中間型で「農林1号」よりやや開く。茎色は緑で2次色は無く、茎翼は直である。小葉の色は濃緑で、頂小葉及び小葉は細く小さく厚みがある。花色は極淡い赤紫系で、花弁の先に白の2次色がある。花数が多く、花粉の量も多く、自然結果が多いため、こぼれた種子から自生し雑草化しやすい。
 いもの着生の疎密及び深さは中である。いもの形は扁球形で、頂部が二次生長気味にやや伸びることがある。皮色は淡黄褐色で、目に極淡く赤色の着色がある。目の深さはやや浅く、目の数は多い。ふく枝着生部(尻)の深さは中位である。肉色は白である。

(3)生態的特性

 休眠期間はやや長い。萌芽期及び初期生育は「紅丸」に比べやや遅いが、開花期は「紅丸」とほぼ同時期である。いもの早期肥大性は「紅丸」より劣るものの「サクラフブキ」及び「アスタルテ」よりは優れており、澱粉価及び澱粉収量の上昇が早いので、早掘りにも適する。枯凋期は「紅丸」より数日早い中晩生に属する。
 いも数は「紅丸」並に多いが、上いも平均一個重はやや小さく、上いも収量では2割以上少ない。澱粉価が21〜22%と「紅丸」より約5ポイント高いため、澱粉収量は「紅丸」を1〜2割上回る。
 晩霜の被害は比較的少ない。耐肥性があり、多肥で徒長することが少ないので、追肥を行っている農家が多い。根量が少なく、干ばつには弱いとされる。

(4)病害虫抵抗性

 疫病抵抗性遺伝子R1R3を持ち、育成当時は疫病にほとんど侵されなかったが、「コナフブキ」の普及とともにこの型を侵す疫病菌レースが広がったため、現在は感受性品種と同様の薬剤防除が必要である。半身萎凋病には強く、軟腐病にも比較的強い。そうか病は圃場の菌密度が低い場合は「紅丸」よりやや発生が少ない傾向があるが、高密度圃場では「紅丸」とほとんど差がない。亀の甲病は少ない。粉状そうか病抵抗性は「農林1号」並以上である。炭そ病に似た黒斑病には弱い。従来の高澱粉品種に多かった塊茎腐敗、貯蔵中の腐敗、打撲による亀裂は少ない。
 Yモザイク病にはPVY-O、PVY-Nの両方に対して、感染しても上位葉や塊茎にウイルスが移行することはなく、PVAに対しても抵抗性である。PVX-b系統には感受性で、PVSのモザイク系統に対しては病徴を現さない。葉巻病の発生率及び病徴の発現程度は「農林1号」程度である。
 ジャガイモシストセンチュウ感受性なので、発生圃場で栽培すると、線虫密度が増加し、減収する。
 中心空洞は通常みられない。褐色心腐は年によってわずかに発生をみることがあるが、「紅丸」より明らかに少ない。二次生長は年によって発生する。皮下黒斑や凹みの発生は多いが、その後腐敗にいたることはほとんんどないので、種いもとして使用可能である。

(5)品質特性

 澱粉の白度は「紅丸」より高い澱粉粒子の大きさは、「紅丸」より大粒の粒子が少なく、平均粒径はやや小さい澱粉の灰分及びリン含量が多く糊化した際の最高粘度は高いがブレークダウンも大きく粘度安定性は「紅丸」より劣る最高粘度時の温度は「紅丸」より低い。ゲルの破壊強度及び破壊歪みは「紅丸」よりやや小さい。離水率は「紅丸」より高い。総じて「紅丸」の澱粉よりも品質はやや劣り、固有用途のうち麺類、春雨、片栗粉などには対応可能である。しかし、離水率が高い(老化しやすい)ので、長期間にわたり冷蔵保管される加工食品(水産練製品、ハム、タレ、ソース)や養鰻用のアルファ澱粉などで問題になると言われていたが、現在では澱粉原料の8割以上が「コナフブキ」であり、「紅丸」原料中心の澱粉生産は不可能である。「紅丸」並の高品質な澱粉の品種には「アスタルテ」と「コナユキ」があり、ともにジャガイモシストセンチュウ抵抗性である。
 調理品質は、極粉質で調理後黒変や煮くずれが多く、一般の調理には向かないが、一般の食用品種にはない高澱粉価を活かしたお好み焼きやロスティーなどに最適である。澱粉原料用のため、食用として注意深く収穫された傷、打撲、緑化が少ないいもを入手するのは難しいが、通販などで販売している生産者もいる。
 グリコアルカロイド含量は、食用品種の中で多いとされる「メークイン」並かやや多く、曝光による増加も「メークイン」並かやや多い。
 焼酎の原料としても利用されている。

(6)適地及び栽培上の注意

 全道に適し、澱粉原料用として「紅丸」「農林1号」に配合して栽培する。
 栽培上の注意は「紅丸」や「農林1号」に準ずるが、以下の点に注意するとよい。
・肥沃地や泥炭土などでは増収するが、やせ地や乾きやすいところでは減収する傾向にある。根の量が「農林1号」等に比べ少なく、多肥は根張りをさらに悪くするのでので、日頃から土づくりに努める必要がある。
・「紅丸」に比べ、生育後期に丈が伸びないので、10a当り4,500株以上(72×30cm程度)にしたほうが安全で多収が得られやすい。
・多肥栽培で茎葉枯凋剤を使うなど、コルク化不足した未熟いもは貯蔵中の腐敗の原因となることがある。
・コロッケや焼酎原料に使うときは、緑化や風味を下げる原因となるグリコアルカロイドの増加を防ぐため、未熟いもの風乾時などに光を当てないよう注意する。

育成従事者

浅間和夫、伊藤平一、村上紀夫、伊藤武(以上、選抜)
坂口進、入倉幸雄、梅村芳樹(以上、交配)



文献及び関連Web
浅間和夫、伊藤平一、村上紀夫、伊藤 武.ばれいしょ新品種「コナフブキ」の育成について”.北海道立農試集報.48:75-84(1982)
馬鈴しょ「コナフブキ」(根育19号)  (道総研 農業技術情報広場)

後木利三.“農作物優良品種の解説 (1978-1986)”.北海道立農業試験場資料 第18号(1987).北海道立中央農業試験場

浅間和夫.ばれいしょ新品種「コナフブキ」”.農業技術.36(10):459-461 (1981)

ばれいしょ品種の形態及びウイルスの病徴 (1) (独立行政法人種苗管理センター


ジャガイモ品種「コナフブキ (ジャガイモ博物館(「コナフブキ」の育成者 浅間和夫氏による解説))
「コナフブキ」のお好み焼きと、伯爵夫人のいももち  (ジャガイモ博物館 ポテトエッセイ第68話)


東田修司、佐々木利夫 でん原用ばれいしょ品種「コナフブキ」に対する窒素追肥”.北海道立農業試験場集報.77: 59-63 (1999)
でん原用ばれいしょ「コナフブキ」に対する窒素追肥  (道総研 農業技術情報広場)

道総研農試の育成品種(ばれいしょ) (道総研 農業技術情報広場)


清里町焼酎醸造事業所 (原料には主に「コナフブキ」が使われている)



「コナフブキ」の父親に関して
森元幸、西部幸男.寒地遺伝資源情報 第3号 ばれいしょ WB66201-10”.北海道農試研究資料.29:73-76(1986)




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