サクラフブキ

登録番号 農林認定 ばれいしょ農林34号 1994. 8
種苗法  第5128号 1996. 8.22登録
2011. 8.23満了
北海道優良品種 ばれいしょ北海道第26号 1994. 3.31
地方番号 根育26号
系統名 根系67号  
系統番号 K83027-5  
組合せ コナフブキ×トヨアカリ (1983 根釧農業試験場) 系譜図

花 (北見農試) 草姿 塊茎 (北見農試)
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用途 澱粉原料用
長所
  • ジャガイモシストセンチュウに抵抗性。
  • 澱粉価が高く、澱粉収量が「コナフブキ」より多い。
  • Yモザイク病に抵抗性。
短所
  • 早期肥大性が劣り、早期収穫には向かず、熟期も遅い。
  • 澱粉品質が劣る。


(1)来歴

 昭和58年(1983)に北海道立根釧農業試験場において、高澱粉、Yモザイク病抵抗性のコナフブキ」を母、ジャガイモシストセンチュウ抵抗性のトヨアカリ」を父として交配し、翌年より選抜を開始したものである。平成6年(1994)に「ばれいしょ農林34号」として登録、澱粉収量が多収で並ぶものが無いという意味で「粉無双」と命名されたが、農林水産省の命名登録品種には最上級を表す名称は使えないという規則に抵触し、命名登録から1年以上経過した後に変更を求められ「サクラフブキ」に変更された。品種名の由来は、中標津町桜ケ丘にある根釧農試で育成され、澱粉収量が吹雪を連想させるほど多いことを表す。
 「コナフブキ」よりさらに澱粉収量が多い品種で、ジャガイモシストセンチュウにも抵抗性ある。
 澱粉品質が良くないことなどにより、作付面積は平成12年(2000)の1,112haをピークに減少し、平成19年(2007)には100haを切ったが、再び増加に転じ平成24年(2012)には410haとなり、以降も400ha前後で推移している。(系譜図

(2)形態的特性

 萌芽時の葉色は濃緑である。そう性は中間型で、茎長は「紅丸」よりもやや長く、後期によく繁茂する。茎数は「紅丸」より少なく、茎はやや太い。茎翼は直で分枝数は「紅丸」及び「コナフブキ」より多い。葉色は「紅丸」より濃く「コナフブキ」並の濃緑、頂小葉及び小葉は「紅丸」より小さく「コナフブキ」並の小で、形は「コナフブキ」に似て細い。小葉の着生は「紅丸」よりまばらな中で「コナフブキ」より間葉が大きい。花色は「コナフブキ」よりやや濃い赤紫系で、花弁の先端は両面ともわずかに白い。がくの色は「紅丸」同様に赤紫を帯び、緑色の「コナフブキ」と区別できる。花粉及び結果数は「コナフブキ」よりやや少ない。
 いもの形は扁球で、皮色は「コナフブキ」と同様の黄褐で、目には「コナフブキ」と同様に淡赤色の2次色がある。表皮は「紅丸」や「コナフブキ」同様にやや粗。目の深さは「コナフブキ」及び「紅丸」よりやや深い中である。いもの外観は「コナフブキ」に似ているが、頂部の二次生長気味の伸びは「コナフブキ」より少ない。肉色は白い。

(3)生態的特性

 塊茎の休眠期間は「紅丸」より長く「コナフブキ」並のやや長である。初期生育は「紅丸」より遅く「コナフブキ」並かさらに遅いやや遅である。開花は「コナフブキ」よりもかなり遅れる。いもの早期肥大性は「コナフブキ」より遅く、早掘り収穫には向かない枯凋期は、「紅丸」及び「コナフブキ」より遅く「アスタルテ」並の晩生に属する
 上いも数は「コナフブキ」よりやや少なく、上いも平均一個重は「コナフブキ」よりやや大きく「紅丸」並で、上いも収量は「コナフブキ」並である澱粉価は「コナフブキ」よりも1ポイントほど高い澱粉収量は「コナフブキ」より多い

(4)病害虫抵抗性

 ジャガイモシストセンチュウ抵抗性遺伝子H1を持ち、パソタイプRo1に抵抗性である。疫病圃場抵抗性は「紅丸」や「コナフブキ」よりやや強く、塊茎腐敗にもやや強い。葉巻病による当代病徴は弱〜中。「コナフブキ」同様Yモザイク病に対しては、PVY-O・PVY-Tの両系統に抵抗性である。そうか病には「紅丸」並に弱いが、粉状そうか病には強い。褐色心腐の発生は「紅丸」より少なく「コナフブキ」並の微。中心空洞の発生は「コナフブキ」並の微で、二次生長は「コナフブキ」より少なく「紅丸」並の中である。

(5)品質特性

 澱粉粒子の大きさは「コナフブキ」より大きく「紅丸」並である澱粉の灰分及びリン含量は「紅丸」より多く「コナフブキ」よりやや少ない。糊化開始温度は「紅丸」やより高く「コナフブキ」よりやや高く、また最高粘度時の温度も「紅丸」や「コナフブキ」に比べるとやや高い、糊化しにくい澱粉といえます。最高粘度は「紅丸」よりやや高く「コナフブキ」並で、ブレーク・ダウンは「紅丸」及び「コナフブキ」より小さい離水率も「紅丸」及び「コナフブキ」より高く、老化しやすい。ゲルの破壊強度は「紅丸」よりやや小さく「コナフブキ」並で、破壊時歪は「紅丸」及び「コナフブキ」より明らかに小さく、固くて脆いゲルといえる。総じて、澱粉品質は「コナフブキ」より劣り、ばれいしょ澱粉の固有用途には向かないとされる

(6)適地及び栽培上の注意

 北海道一円に適する。
・初期生育及び塊茎形成が遅く、早期肥大性がやや劣るので、浴光催芽によって生育の促進を図る。早掘りの澱粉収量は「コナフブキ」より劣る。
・疫病圃場抵抗性は「紅丸」及び「コナフブキ」よりやや強いが、防除回数を少なくできるほどの強さではないので、防除は「紅丸」及び「コナフブキ」に準じて行うこと。

育成従事者

村上紀夫、奥山善直、入谷正樹、松永浩、千田圭一
浅間和夫、三井康、清水啓(ジャガイモシストセンチュウ抵抗性選抜)



文献及び関連Web

村上紀夫、松永浩、千田圭一、奥山善直、入谷正樹、浅間和夫、三井康、清水啓.ばれいしょ新品種「粉無双」(サクラフブキ)の育成について”.北海道立農試集報.68:1-16(1995) 

三浦豊雄 編.“サクラフブキ 農作物優良品種の解説 (1987-1995)”.北海道立農業試験場資料 第26号(1996).北海道立中央農業試験場

ばれいしょ「根育26号」(サクラフブキ)  (成績概要書)

ばれいしょ品種の形態及びウイルスの病徴 (1) (独立行政法人種苗管理センター


ジャガイモ品種「サクラフブキ」 (ジャガイモ博物館(浅間和夫氏による解説))



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