II  じゃがいもの需要と供給

1.需要の動向
我が国では年間に約370 ~400万tのじゃがいもが消費されていますが、その用途は青果用、加工食品用、でん粉原料用、種子用その他の4つに大別されます。そして平成15年度のシェアは、青果用が23%、加工食品用が35%(輸入された加工調整品 はすべて原料いもに換算しています)、でん粉原料用が31%、種子用その他が10%で、それぞれ次のような動きを示しています。

(1)青果用
・食の外部化、簡便化が進展したことにより、家庭内で消費される生いもの消費は減少傾向で推移。
・15年度は85万t程度となったが、これは10年前の83%で、この10年間に17万tあまり減少。

(2)加工食品用
・食の外部化、簡便化は一方で加工食品用の消費の増加という現象もたらし、
15年度の消費量は127万t程度。
・加工食品用の内訳についてみると、ポテトチップス用が安定して推移している一方で、
フライドポテト、惣菜、サラダなどは1人当たりの消費が増大。
・しかしながら、加工食品用に占める国産比率は43%程度で推移。

(3)でん粉原料用
・年によって変動はあるものの、近年、100~120万t程度で推移。
・じゃがいもでん粉の生産量は近年25万t程度で推移しているものの、
価格の安い海外産のじゃがいもでん粉や化工でん粉がオランダやタイなどから輸入されており、
固有用途 (水産練り製品や片栗粉、麺類製造などに使われる)の需要は10万t程度で推移。
・残りはコーンスターチ用輸入とうもろこしとの抱合せにより糖化用として使用。

(4)種子用その他
・種いも使用量は10a当り200㎏程度。
・作付面積の減少に伴って全体の消費量は減少傾向で推移し、平成15年度は17万tの水準。

2.生産の動向
じゃがいもは重量ベースでは水陸稲、てんさいに次ぐ生産量があります。寒冷な北海道では輪作体系の基幹作物として、また、都府県の畑作農業の主要作物として農業経営上重要な地位を占めています。その概要を数値で紹介すると、以下のようになります。

(1)主産地
・北海道が作付面積で63%、生産量では78%を占め、平成15年の作付面積が5万6千ha、
単収は 4,110kg/10a、収穫量は229万t。(生産量の約5割はでん粉原料用)
・都府県では長崎県が11万tで第2位、鹿児島県が9万tで第3位、茨城県が5万tで第4位であり、
青森、福島、千葉の各県が3万t以上の生産量。

(2)農業産出額
・平成15年度の農業産出額は 約1,240億円。
・農産物全体の1.4%で第13位。

(3)作付面積及び生産量
・昭和62年頃までは12~13万haで安定的に推移していたが、平成元年以降減少傾向で推移。
・平成15年産は8万8千ha、294万t。

3.輸入の動向
昭和60年代以降、円高が急速に進行したことや食生活の簡便化志向が強まったことなどを背景に、フライドポテトをはじめとした冷凍加工品や乾燥マッシュポテト(ポテトフレーク)などの調製品の輸入が増加しています。その概況は次のとおりです。

(1)冷凍調整品と成形ポテトチップス
・冷凍調整品は、全国展開のハンバーガーショップで使用されるフライドポテトなどに使用され、
店舗数の増加とともに急増。
・成形ポテトチップスの製品輸入も増加している。

(2)輸入量
・平成15年には生いもに換算して73万t、品目別には
フライドポテトなどの冷凍調製品が53万tで大半を占め、次いで乾燥マッシュポテトが12万t。
・国別には、アメリカからの輸入が51万tで 74%と高いシェア。
(冷凍調整品の国内生産は原料のロットのバラツキなどやコスト高の問題から伸び悩み)

○ 我が国におけるじゃがいもの需給(平成15年度)

(単位:千t)


飼料
種子
澱粉原料
減耗
食用

うち加工食品用
うち加工食品用2939
730
2
3667
9
168
1155
214
2121
1267
15.0
8.9



100
0.2
4.6
31.5
5.8
57.8
34.6

輸入730-輸出2

730-

国内生産量
(千t)
貿 易 国  内  需  要 純食料(Kg/人・年)
2939 輸入 輸出
730 2

資料:農水省「食料需給表」(加工食品の欄は都道府県報告に基づく特産振興課調べ○ 主要農産物の産出額とじゃがいもの位置づけ
(1) 産出額
(単位: 億円, %)順位
品目
産出額
比率
1

23,0866
25.7
2
生乳
6,875
7.6




13
ばれいしょ
1,240
1.4
(2) 栽培農家数
(単位: 万戸)作物
販売農家数

175
野菜
45
いも類
20
実家数
199
(3) 収穫量
(単位: 万t)品目
生産量

779
てんさい
416
ばれいしょ
294
ダイコン
175
さとうきび
139資料:農水省統計部「生産農業所得統計」、「作物統計」、「野菜生産出荷統計」、農水省「世界農林業センサス 」注 :栽培農家数は平成12年で販売を目的にした農家の数、産出額及び収穫量は平成15年の数値である。

国内生産量
(千t)
平成15年度 平成27年度
1人1年当たり消費量(kg) 15.2 15.0
生  産  量(万トン) 293 303
10a当たり収量(kg) 3,330 3,777
作 付 面 積(万ha) 8.8 8.1
自  給  率(%) 80 84