札幌で生まれ育ったが、いまは川越に住んでいるという女の人がきてこんな話をしてくれた。

「昭和30年代の後半に縁があって川越にお嫁にきました。友達に川越に行くことになったと言ったら、『え~っ、いもねえちやんになっちゃうの?』と言われてしまいました。川越いもの名は向うでもそれほど有名でした
でも北海道でサツマイモといえば干しいもの感じでした。近所の八百屋さんの店先きに干しいもが入ったかますが置いてありました。店の人にいくらいくら欲しいと言ってお金を渡すと、新聞紙で作った袋に入れてくれました。そのおいしかったこと、すぐみんなたべてしまったものです」

北海道の冬の寒さは厳しい。寒さに弱いサツマイモの取り扱いのむずかしいところなので、冬は売る方も無難な干しいもに力を入れていたようだ。