引き売りの石焼き芋と言えばオジサンたちの世界だが、所によっては変り種もいる。千葉県の館山市に昨平成7年の正月からそんな人が現われた。20代の若い女性の石川みどりさんがそれ。みどりさんは茨城県出身で、日立製作所に勤めていたという。ところがなぜかサツマイモの魅力に取りつかれてしまい、周囲の人たちの猛反対を押し切って焼き芋屋になってしまったのだという。
それだけに本気だ。たとえばテープで流す売り声も、オジサン声の「おいも、おいも」とは違う。自分で吹き込んだ「ドングリコロコロ」の替え歌でやっているという。だれでも安心して買いに来れるようにという気配りからだ。

美女で仕事熱心なみどりさんのことだ。たちまち町の有名人になり、商売も大繁昌という。ただ彼女はそれに甘んじているような人ではない。いも菓子、いも料理の専門店を持つのが夢だそうで、すでに着々と準備に取り掛かっている。今日、当館へ来たのもそのためという。